日本IBMは、メインフレームのブランド名を「IBM Z」に変更し、その最新製品である「IBM z14」を発表した。新製品は1日あたり120億件を超える暗号化トランザクションを処理する能力を備え、アプリケーション、クラウド・サービス、データベースにおける全てのデータを常に暗号化できるようになったことが最大の特徴だという。

 新製品は、企業のセキュリティー責任者やデータ・セキュリティーの専門家、さらに150社を超える世界中のユーザーからのフィードバックを反映し、データ保護の能力を大幅に拡張したという。「IBM Z」はデジタル体験における信頼の根幹を支えるとともに、3つの領域で企業のビジネス成長を支援するとしている。

 ・妥協なきセキュリティー

 「z14」は初めて、システムに関わる全てのデータをOSレベルでハードウェア暗号化の機能を使用して一度に暗号化できるようになった。現行の暗号化ソリューションはCPU負荷が高くシステムの処理性能や応答時間に影響を与え、また暗号化するフィールドの選定や管理に多くの工数がかかっていた。

 今回、暗号化アルゴリズム専用の回路を4倍にすることで暗号化処理性能を前モデルである「IBM z13」比で最大7倍に増強した結果、クラウド規模のバルク暗号化が可能となった。これは特定のデータ領域に限定した暗号化処理を行う現在のx86システムと比較すると18倍高速で、コストは5%になる。

 また、ハッカーの標的となりやすい暗号化キーを保護するためのハードウェアを搭載している。このハードウェアは、侵入の徴候があるとキーを無効化させ、その後、安全に復活させることができる。「z14」のキー管理システムは連邦情報処理標準(FIPS)レベル4標準に準拠しており、システムの外にあるクラウドのストレージ・システムやサーバー、その他のデバイスやアプリケーション全体を保護する。

 ・機械学習による新たな価値の創造

 「z14」は前モデルの「z13」比で約3倍となる32TBのメモリーが最大で搭載可能となり、分析処理の応答時間の短縮およびスループットの増大を実現している。またzHyperLinkを利用することで、ストレージ・エリア・ネットワーク応答時間を「z13」に比べて10分の1に短縮し、アプリケーションの応答時間を半減する。

 これらのマシン性能向上に加えて、2月に発表されたIBM Machine Learning for z/OSを用いた機械学習により、業務分析モデルの作成、学習、展開を自動化することが可能になり、リアルタイム分析の効率性が大幅に向上する。メインフレームに蓄積された日々のトランザクションで生じる膨大な機密データを外部システムに移動させず、「z14」の内部でリアルタイムにデータとモデルを継続して分析、予測、最適化し、洞察を得るまでの時間を短縮する。

 ・クラウド連携による迅速なサービス提供

 「z14」では、クラウド・サービスとの連携がよりスムーズになる。クラウド開発者はIBM z/OS Connectを使用してAPI経由で「IBM Z」上にある重要なビジネス・アプリケーションやデータと連携するサービスを開発している。「z14」では、APIを使用してデータやアプリケーションにアクセスする際の暗号化処理を、x86を基盤にした代替テクノロジーより3倍近い速さで実行することが可能だ。

 また、x86システムよりも50%高速にJavaワークロードを実行可能となっており、「z14」を中核としたハイブリッド・クラウド環境を利用するお客様は、重要な資産を守りながら新しいサービスの展開を加速できる。また、「IBM Z」はブロックチェーンのクラウド基盤として採用されており、IBMブロックチェーン・グローバル・データ・センター全体の暗号化エンジンの役割を果たしている。

 また同時に、柔軟で簡素化された新しいソフトウェア価格設定を提供するContainer Pricing for IBM Zの導入を発表した。新しいz/OSアプリケーションや開発・テスト用のワークロードに対して競争力の高い料金を提供するほか、支払いソリューション向けには処理に使用された容量ではなく実際に処理された「支払い数ごと」の料金オプションを設定するなど、予測がしやすく透明性の高い料金体系などが含まれる。これらは2017年末までにz/OS V2.2およびz/OS V2.3で利用可能となる予定だ。

EnterpriseZine編集部[著]