TBS日曜劇場『ごめん、愛してる』が始まった。社会現象になるほどの大ヒットとなった韓流ドラマのリメイク。主演は長瀬智也、ヒロインに吉岡里帆が抜擢されている。大竹しのぶ、坂口健太郎、池脇千鶴と濃い目のキャストが日曜劇場らしい。視聴率は9.8%とやや低調なスタート。


ドラマチックな登場人物たちのドラマチックな出会い


『ごめん、愛してる』は大変ドラマチック(劇的)だ。登場人物たちの設定、関係もドラマチック。簡単に列記していこう。

主人公の律(長瀬智也)は幼い頃に母親に捨てられ、児童養護施設を経て今は韓国でアウトローとして暮らしている。自分を慕ってくれる黒社会の大物のジュニア・ペクラン(イ・スヒョク)を守るために頭部に銃弾を浴びて余命わずかと宣告される。せめて最後に親孝行がしたいと思い、母親を探しに日本にやってきた。

ヒロインの凜華(吉岡里帆)は天才ピアニスト・日向サトル(坂口健太郎)の幼なじみで、スタイリストとして彼の活動を支えながら想いを寄せている。仕事で韓国を訪れたとき、裏社会の男たちにターゲットにされて売り飛ばされそうになるが、間一髪のところで律に助けられる(律も仲間だったのだが裏切った)。帰国後、サトルの家で訪れてきた律と鉢合わせになる。

麗子(大竹しのぶ)は息子のサトルを溺愛する母親。自分も元ピアニストだったが、何らかの事情で弾けなくなったらしい。とにかくサトルが第一でめちゃめちゃ甘やかしている一方、自分を訪ねてきてぼろぼろと涙を流す律を容赦なく追い払う。

サトルは絶大な人気を誇る天才ピアニスト。よく言えば天真爛漫、悪く言えば子ども。わがままだが、悪意がない。奔放な天才サックスプレーヤーの塔子(大西礼芳)に夢中で、いつもそばにいる凜華のことはまったく女だと思っていない。

若菜(池脇千鶴)は律と同じ養護施設で育った女性。シングルマザーで一人息子の魚(大智)と暮らしている。子どもの頃、施設を出ていった律を追いかけて交通事故に遭い、高次脳機能障害となって7歳程度の知能で止まってしまっている。今でも律のことが大好き。

それぞれ劇的な背景を持つ登場人物たちが、劇的な出会いをしたのが第1話だ。今後、物語はほぼこの5人で進行する(いや、若菜を除いた4人かも)。律と凜華とサトルが男女の三角関係、律と麗子とサトルが親子の三角関係を暑苦しいまでにじっとりと見せてくれるだろう。まさに夏の大三角形ドラマだ。

『ごめ愛』のツッコミどころとは?


第1話放送後、元の韓流ドラマファンからは「意外と忠実」「何か違う」と正反対の声が上がっていた。面白い反応だと思う。

第1話では、わりと大切なところで視聴者に「なんでそうなるの?」と思わせてしまう部分が目についた。

たとえば律と凜華の出会いのシーン。パスポートと現金など荷物一式を盗まれた凜華が、律に誘われるまま酒を飲んでぐでんぐでんに酔っ払っていたが、異国でひどい目に遭って知らない男とそんなに酔えるだろうか? ちなみに吉岡里帆の酔っ払いの演技は、『ダウンタウンなう』に出演したときの酔っ払いぶりとまったく同じだった。

もうひとつ、母親の居場所を(かなりあっさり)探し当てた律が日向家を訪れるシーン。律は涙を流すだけで何も言えず、麗子に不審者扱いされて追い払われてしまう。気持ちが高ぶって何も言えなくなってしまう気持ちもわかるが、せめて自分が息子であるとか、形見の指輪を見せるとか、何らか説明したら麗子の対応も変わるかもしれないのに……という気持ちになってしまった。玄関で律と鉢合わせした凜華が、韓国での恩を忘れて軽く「キモッ」と言っているのも気になった。

どちらも第1話の大切なシーンだったが、もう少し丁寧に描いても良かったような気がする。第1話で主要キャストを全員出して、それぞれの境遇を説明し、出会いまで描いてしまったから、ちょっと駆け足になってしまったのかもしれない。

また、元の韓流ドラマが17話だったのを10話に縮めようとした弊害がいきなり出てしまっている。思い切った変更をしていないので「意外と忠実」という反応がある一方、丁寧さに欠ける部分があるので「何か違う」という反応も招いてしまっているのだ。1クール10話というフォーマットが近年のドラマの常識になっているが、韓国の大ヒット作をリメイクするなら思い切って17話でやってしまっても良かったような気が……。

とりあえず、第1話で物語の設定は説明し終えた。今後は濃密なドラマがじっくり描かれることだろう。夏の暑い盛り、水分補給を欠かさずに物語のなりゆきを見届けたい。

(大山くまお)