Amazonプライムビデオでのみ配信されているオリジナル番組『今田×東野のカリギュラ』。
地上波でNGだった企画を、WEBだからやってみよう、という番組だ。


女性のオナラあてクイズ、ホームレスインテリクイズ王決定戦など。
「地上波アウト!」と言われそうな、下品だったりくだらなかったりエグかったりするものばかり。

中でも、「東野、鹿を狩る」シリーズは、まとめて見るとかなり面白い。
狩猟企画は、かつて東野幸治が『東野・岡村の旅猿』で出した時に即ボツになったもの。
4年越しで温めた(でもどこもOKしてくれなかった)企画だ。
今田耕司は開口一番「(地上波では)絶対無理」と言う。

実際に現場を撮影したことで、エンタメを作るテレビ屋と、命に向き合い続ける狩猟家の、価値観の衝突が如実に見える番組になった。

スタッフと狩猟家の板挟み地獄


全4回で構成される「鹿を狩る」シリーズ。
1回目は、いかにもテレビ番組的な盛り上げ方、引っ張り方、冗談の飛ばし方が、正直鼻につく。
カメラに映されているからこそ、東野幸治はプロとして、いかに面白く見せるかを反射的に考えてしまう。
スタッフは「いい絵を撮るぞ」と意気込みすぎて、山にドローンを飛ばしてしまい、注意される。さすがに東野も呆れるものの、ここに「何が一番大事なのか」の考え方の差が見える。


東野やスタッフに対し、狩猟をして暮らしているサバイバル登山家・服部文祥の言葉が飛んでからが本番だ。
ちょっとした出来事に反応し、クスクス笑う東野に、猟銃を背負う服部は言う。
「何がおかしいんだよ、帰れよ」「ウケ狙いなしで」
東野が、凍りついた顔で謝る。

1回目の登山では、鹿を見付けたにも関わらず、たどり着けず逃げられてしまった。
服部はどんどん鹿を追い詰める。東野は叱られたこともあって、音を立てないよう口を閉ざしたものの、息切れが止まらずハァハァ言ってしまう。

10人近い撮影スタッフは体力の限界。すっかりついていけなくなり、もうこの山はいいでしょう、と泣き言を言い始める。
服部は真剣に鹿を追っているため「未来なんてわかんないだろ」とキレて狩りを続ける。
なにより、音を立てるスタッフが多すぎて、狩りの邪魔でしかたない。

東野は、何も言えず黙って両者を見ている。「一番地獄でしたね」
テレビ演出が、命を狩る現実に置き去りにされていく。

お客さんから狩猟者へ


3回目では、山に行く前に服部が、食料としてカエルを殺して燻製にするシーンが出てくる。
ここでの東野は、ドン引き。やれと言われても、身がすくんでやれない。
「これができないで、鹿できないでしょ」
服部に言われても、最後まで東野動けずじまい。

カエルの頭を硬いところに叩きつけ、気絶しているところで一気に皮をむしる。
ひきつった笑いで涙目の東野。ゲテモノを見て騒ぐアイドル状態で、生き物を食べることに参加できていない。

完結編。北海道占冠村で鹿狩りを本格的に行う。
服部は、スタッフとの距離を起きつつ(本気で邪魔だったらしい)、カメラと東野が密着する状態で、銃を背負って鹿を追う。
鹿を見つけて走り出し、ほんの一瞬で服部が撃ち殺す。鹿は転げ落ちる。

銃弾が心臓を貫通し即死した鹿。東野は血抜きのために、動脈を切るように言われる。
カエルの時とうって変わって、東野は躊躇なくすぐにナイフをいれ、ゴリゴリと喉元を切る。
鮮血あふれる鹿を引きずり、山を降りる。

解体場では東野自らが、皮を剥き、胸骨を割り、内臓を抜き、肉をばらしていく。
ナイフを入れたことで、東野はゲストではなく、命を奪って食べる行為者の立場になった。

ラスト、解体した鹿を焼いて食べる。
心底、美味しそうだ。

「命って、そんなに重いものじゃないんだよね」と服部は言う。
「鹿の命なんか、大切じゃないから殺すわけだよ俺たち。でも肉は俺たちにとっては大切なんだよね」「殺すことで命を大切にすることもできるし、本来そうしているはず。それなのに死を一生懸命隠してる。俺はそれには反発したい」

本当にこれは、地上波で放送できない、コンプライアンス的にだめなものなんだろうか。

(たまごまご)