テレビ東京「土曜ドラマ24」でスタートした『居酒屋ふじ』。中目黒のはずれにある実在の居酒屋「ふじ」を舞台に、実際に店の常連の俳優たちが実名で登場する物語だ。

原作は栗山圭介の同名小説。永山絢斗が演じる無名の俳優・西尾が主人公で、店で偶然知り合った大森南朋役を大森南朋が演じる。ナレーターはとんねるずの木梨憲武。大森も木梨も「ふじ」の常連だった。


「テレ東、力あんな、今な」


先週放送の第2話はいきなり大杉漣(大杉漣)が若いモデルの美女2人を引き連れて「ふじ」に登場! 大杉漣は美女相手にうさんくさい「陰毛占い」を提案する。陰毛を1本抜いて占えばブレイクも夢ではないというのだ。大杉漣、最低! 

しかし、ホイホイと美女たちは陰毛を抜いてきて、さらに大杉漣の言いなりで「静かな場所」へ連れて行かれてしまう。あっけにとられる西尾に大森南朋が呟く。

「『バイプレイヤーズ』やってから若い子に人気あんだよ、あれ。テレ東、力あんな、今な。出てぇな、俺も」

出てるよ、今! コテコテの関西弁を使っていた大杉漣だが、実際は徳島出身。『居酒屋ふじ』は虚実皮膜の物語だが、どちらかという“虚”に近いという印象だ。

「ふじ」という異空間


昭和の風情を色濃く残した居酒屋「ふじ」は、常連(諏訪太朗、平田敦子)はしつこく絡んでくるし、プライベートには土足で踏み込んでくるし、昔の話で盛り上がるし、みんなで亡くなった親父の純愛話に涙して、消極的な西尾に好きな女子(飯豊まりえ)にアプローチするように迫ったりする。

はっきり言ってウザい。しかし、これは「ふじ」という異空間では常識なわけで、それがイヤなら出ていけばいい。飲食店、特に居酒屋にはそれぞれの常識とか文化みたいなものがある。こういう古い雰囲気の居酒屋は、コミュニケーションも古臭くてねちっこいことが多い。常連客も落語に出てくる長屋の人々のような感じだ。でも、そうやって絡んでくるから普段で泡なさそうな人との出会いもあるし、なんなら異性との出会いだってある。

インスタで気になっていた鯨井(飯豊まりえ)との待ち合わせに失敗した西尾だが、一人でやってきた鯨井を店の常連客たちがさりげなくフォローしていてくれたし、なんなら自然に会話も手助けしてくれている。

流れに乗って告白しようとする西尾だが、そこにやってきたのが大杉漣! 調子よく鯨井をかっさらっていってしまった。大杉漣は最低だが、鯨井ちゃんもついていくなよ! 追いかけようとする西尾だが、そこに水川あさみ(水川あさみ)が入ってきた! 毎回こうやってつないでいくのね。

毎回、亡くなった親父さんのエピソードを鉄拳のイラストで語るのだが、鉄拳の絵、ちょっと上手くなりすぎじゃないだろうか。昔からこんなに上手だったっけ?

(大山くまお)