長瀬智也主演のTBS日曜劇場『ごめん、愛してる』。幼い頃、母親に捨てられた男が愛を求めるラブストーリーだ。先週放送の第3話は視聴率9.5%と一進一退だが、ゴールデンボンバーの歌広場淳を筆頭にハマり始めた人も増えてきている模様。(原作ドラマ)


「羨ましい!」「エロすぎ!」と大反響のキスシーン


第3話は、なんといっても律(長瀬智也)と凛華(吉岡里帆)のキスシーンが話題になった。筆者も「うわっ、何これ、エッロ」と思ったものだ。ちょっと不意打ちだったのもズルい。キスしそうな雰囲気、あった?

ツイッターのタイムラインにも「やっばっ!」「羨ましいいい!」「エロすぎ!」などなどのコメントが溢れかえった。「長瀬くんのキスシーンを見てお腹に長瀬くんとの子供が宿りました。ありがとうございます。シングルマザーです頑張って育てます」というツイートが傑作。

あらためて流れを説明すると、母親・麗子(大竹しのぶ)から愛をもらえなくて寂しくなった律が凜華に膝枕と子守唄を歌えと命令する。第3話の冒頭で、律と同じく養護施設で育った若菜(池脇千鶴)が息子に子守唄を歌っているシーンが伏線になっていた。「若菜、えらいな。俺たち子守唄なんか歌ってもらったことないのに」と律。ニコニコしている若菜のおかげで、ほんわかした雰囲気だが、話の内容はかなりせつない。

もう一つの伏線は、ブタ箱に放り込まれた律にマネジャーの三田(中村梅雀)がクビを宣告するシーン。三田は日向家を守るため、ことさら冷酷な態度をとる。「わからないのか? お前はクビになったんだよ。いらないんだよ!」。律は家族からも社会からも見放されて、この世界のどこにも居場所をなくしてしまった。ひとりぼっちだ。

重苦しいシーンを積み重ねてきてやってきたラストシーン。釈放された律と、サトル(坂口健太郎)の塔子(大西礼芳)への強い愛情を目の当たりにして傷心の凜華が酒を酌み交わす。この2人、毎週のように酒飲んでるな。突然、凛華が律のことを「チャン」と呼んでいて戸惑うが、これは『子連れ狼』リスペクトではなく、「おっちゃん」とレスリー・チャンをかけたあだ名のよう。

「捨て子ってのは人の役に立たなきゃ生きてる意味がねぇんだ」

という律の言葉がせつない。

「親にとって子どもは無条件で可愛い。生きてるだけでオッケーだ。でも、俺はそういうわけにはいかねぇ」

だから律は自分を慕うペクラン(イ・スヒョク)を命がけで守り、サトルのことも助け出した。律は単に義侠心が厚いだけではなく、こういう気持ちを抱えて生きてきたのだ。

胸を打たれた凜華は、「えらいえらい」と律の頭を撫でる。ここで長瀬の顔のアップ。どうやら心の中で何かが弾けてしまったようだ。目は一点を見つめ、口は半開き。「ボケチン……頼みがあるんだ。膝枕してくれ」。

有無を言わさず膝枕の態勢になる律。長瀬、そこから見えた景色はどんなものだったかい……? さらに子守唄を要求し、凜華の子守唄を聴きながら涙を流す律。「あれ? チャン、泣いてんの?」と言いながら、顔を背ける律の顔に手をかけ、正面を向かせる凛華。あ、これはダメだ。律の頬にかけた凛華の手の指がつつつ、と動いているのもポイントだ。

そして律はムクリと起き上がり、「泣かないでよ〜」と軽口を叩く凜華の後頭部をデカい手でホールドしてガッツリとキス! 何気なく見ていたときは不意打ちのようなキスだったが、あらためて検証してみると、キスまでの伏線は十分あった。

律の寂しさと凛華の寂しさが重なり、律の告白によって凛華は彼のことを理解した。そして酒の勢いとボディタッチ。こういうところからキスが生まれるのだ。なんなら3話は2人がキスするまでの過程を丹念に描いた話だったと言ってもいい。それにしても長いキスだったな、おい……。

六角精児のたしかな殴られ演技に注目


今回注目したいのは、ここまでストーリーを動かしてきたフリーライターの加賀美(六角精児)だ。麗子とかつて不倫関係にあった世界的指揮者の黒川龍臣(山路和弘)に近づき、麗子が捨てた律にも接近。律に実母・麗子のことを教えると同時に、麗子への憎悪を煽りまくる。そのマメさ、しつこさは、ビジネスを超えた何らかの恨みを抱えているとしか思えない。

前回は麗子を告発するために捨てられた律のことを記事に書いたものの、律に原稿チェックを頼んだら逆に突き飛ばされてしまったが、今回は麗子たちの前に直接登場。もともと麗子が塔子に悪感情剥き出しで空気が悪かったテーブルをさらにバッドな空間に叩き込む。

「古傷をえぐるようで申し訳ないんですけども、日向さん、人気絶頂の頃に自殺未遂、その後、電撃的に引退されましたよね。その原因が黒川氏との恋愛関係のもつれにあったという噂があるんですが、どうなんですか? 本当のところ……」

こんな不穏な話、息子(坂口健太郎)もいるテーブルでするんじゃない! 「本当のところ……」のあたりのかしこまった口調が悪意を際立たせている。強気で鳴らす麗子も押し黙るしかない。心底嬉しそうに「あんらー、図星かな〜。黙っちゃいましたね!」と言う加賀美。背後でゆっくり立ち上がる律。来るぞ来るぞ。

「黒川氏には妻子があった。つまりこれって不倫ですよね! しかもただ不倫してたわけじゃない。人としてもっとも酷いことをしたんじゃないですか! こっちはいろいろと知っているんです。あなたと黒川さんの間には、ブガァ!」

律にタコ殴りにされる加賀美! 殴られるたびに「ブシュ!」「ブガァ!」と自ら音をたてる六角精児のたしかな演技力を感じるシーンだった。素晴らしい。実の母の窮地を見逃せなかった律の熱さがよく伝わるシーンだったが、それを支えていたのは六角精児の演技力であった。

さて、今夜放送の第4話。またキスシーンはあるのだろうか? 六角精児の反撃は? どうやら律に命の危険が……。気になることだらけの『ごめん、愛してる』は夜9時から!

(大山くまお)