11名の劇作家が下北沢を舞台に毎回さまざまな「人生最悪の一日」を描くドラマ『下北沢ダイハード』。第2回は細川徹が脚本と監督を手掛けた「違法風俗店の男」。


登場するのは本人役の光石研。芝居の本番まで時間を持て余した光石は、池田鉄洋に教えられた「風俗ビル」に入ってしまう。しかしそこに警察の摘発が。光石はパンツ一丁、風俗嬢(川栄李奈)には自分の素性がバレる、本番の時間は迫る。そんななか偶然近くの席に座っていたロバートの秋山(本人)と、演技を駆使して二人でこの場を抜け出そうと画策する……。

光ってるっぽい名前の人が風俗店を抜け出すべく迷走


細かいところにクスクスしてしまう第2回。風俗ビルには光石も出演していたドラマにひっかけた『バイブレイヤーズ』という店があった。風俗嬢が勝手に画像を送った友達からは「なんか光ってるっぽい名前の人!」という指摘。秋山からは「生瀬さんですか?」。秋山が何かと口に出す名前は後輩コンビ、テゴネハンバーグ。そして冒頭に映る光石主演の舞台のタイトルは、このできごとを予見していたかのような「むきだしの庭」……。
光石がクライマックスで「俺は俳優だ! 演技で切り抜けるぞ!」と決意したのはかっこよかったのに、秋山がそれをわかった雰囲気を出しつつ全然わかってないところなど、くだらなさやバカバカしさの積み重ねが心地よい。
そういえば、入った風俗店が違法と知った光石が「文春出ちゃう! 」と心の中で叫ぶが、彼は『バイプレイヤーズ』の3話でも不倫で文春に出てしまっていた。何かとドラマの中で文春に出る男、光石。「光石さんはまじめだからなあ」というその印象が、書き手にこんな姿を描かせてしまうのだろうか。
ドラマ後半で踏み込んでくる警察として細川の「男子はだまってなさいよ!」常連のデメタンこと大堀こういちが登場したときには「待ってました!」という気持ちになった。風俗店の店長らしき男がナイロン100℃の廣川三憲なのも小劇場ファンにはうれしいところだ。

現実とドラマが入り混じる


ちなみに、光石研と池田鉄洋はかつて舞台、しかもまさに本多劇場で実際に共演している。2010年上演、阿佐ヶ谷スパイダースの「アンチクロックワイズ・ワンダーランド」。ここでの光石は自らの書いた物語の中に迷い込み、空想と現実との境が曖昧になっていく男を演じていた。この舞台を手がけた長塚圭史と細川はかなり作風が異なるが、現実とドラマが入り混じっていく部分は共通するものがある。それにしても、本人として延々裸で奮闘する今作は、光石研という名バイプレイヤーの懐の深さを感じられる1作となった。

おじさんの裸、おじさんの裸ときて今夜放送の3話はおじさんの女装! 神保悟志、光石研ときて野間口徹。これもまた別の『バイプレイヤーズ』とも言える面々だ。

(釣木文恵)