「いつからだろうな、医者が患者に大丈夫だって言ってやれなくなったのは」

新海(安藤政信)は、藍沢(山下智久)の言動に少し揺さぶられていた。

「後で嘘つきと罵られようと、代償を払わされようと構わない。彼女が生きている方がいい」
人命第一と教えられてきた藍沢らしい覚悟の決め方だった。
「コード・ブルー」第4話。


山Pのやさしい表情が見られた「コード・ブルー」4話


拡張型心筋症で移植を待つ橘(椎名桔平)と三井(りょう)の息子、優輔(歸山竜成)の容体が急変。フライトを藍沢に任せて治療に当たった橘。
一命を取り留めたが、臓器移植まで平均1000日も待つのが実態と、綱渡りの状況が続く。先の見えない長い戦いは、たとえ医師であっても堪えるようで、三井はヘリに乗っていた頃とは別人のよう。敏腕フライトドクターの面影はなく、辛くて苦しそうな表情が増えた。
心拍数が上がってしまうことを避けるため、泣くことすらセーブしなければならない優輔は、久しぶりに見た母の笑顔に癒され、反対に橘と三井も優輔の笑顔に勇気づけられる。。

藍沢先生に言われたい「大丈夫」


「君はすごいな。そこまで体調が悪かったら一刻も早く手術をしてくれというのが普通だ…それだけピアノが好きなんだな」
ゆっくりとした口調で、冷静だけど感心を隠せない様子で語りかけた藍沢。相手は14才の天才ピアニスト。
天野奏(田鍋梨々花)の脳腫瘍は肥大し、容体は悪化の一途をたどる。それでも手術を躊躇するのは後遺症が残る可能性がゼロじゃないから。

藍沢は後遺症が残る可能性があること、リハビリの大変さ、時間がかかることを伝えた上で、
「でも、君なら乗り越えられると僕は思う。……君はとても強い。だから大丈夫だ」
左眉の上にシワを寄せた険しい表情も、徐々に優しい表情に変わった。
笑顔というよりは、包容力のある微笑み。

不安に押しつぶされそうな時、包み込むように「君なら大丈夫」って言われたらどれだけ安心するか。……言われてみたい。

新しい挑戦?「コード・ブルー」らしくないシーン


渓流釣りで足を滑らして重傷を負った緒方(丸山智己)。料理人としては致命的な手先に後遺症が残ってしまい、入院中に店もクビになった。それでも前向きに、明るく振る舞う緒方に心惹かれつつある緋山。4話では緒方からおにぎりをもらったことでさらに距離が縮まる。
患者に悩み相談をして励まされる……どうも緋山らしくない。
翌日、お礼がてらおにぎりを差し入れようと病室へ行くと、緒方の妻が来ていた。ショックを受けた様子の緋山。緒方も気まずそうな顔で、微妙な空気が流れていた。これは一体……。

過去にも医師と患者の垣根を超えた会話を通して、患者の揺れる気持ちを知ったり、自分の姿勢を見つめ直したりするシーンは度々描かれてきた。緋山の恋愛的な要素は、「笑顔の効能」を描くために必要かもしれないが、シリーズを踏まえると“らしく”ないシーンに思えた。

今回から脚本家が変わって、『リッチマン、プアウーマン』(フジ月9/2012年放送)などを手がけた安達奈緒子氏が担当している。ここに来て恋愛要素を盛り込んだのは、新たな方向性を探る挑戦なのか。
リアルタイムとタイムシフト視聴を合わせた最新総合視聴率も24.4%(7/ 24(月)〜7/30(日)/関東地区ビデオリサーチ)と、初回から高い数字をキープしながら推移している。今クールのドラマではNHK朝ドラ「ひよっこ」に続く人気だ。

1st〜2ndでは現場での失敗や葛藤、過酷な場面に直面し、もがきながら成長していく彼らを見てきた。番組の紹介文「ドクターヘリ医療の最前線を描くリアルドラマ」と掲げているように、シリーズファンとしては恋愛よりも現場での奮闘を色濃く描いて欲しいと思う。

冴島の言葉にかつての白石と緋山


「大きな不幸を前に不安になって当然、誰かがその不安に気づいて欲しい。あなたの顔を見ると、みんなが安心する。雪村さんにはそういうナースになってもらいたいの、焦らずに成長して行って欲しい」
早く一人前として認められたいと力むフライトナースの雪村(馬場ふみか)。焦燥感を抱く後輩に冴島がアドバイスした。
「あんたの顔を見ると安心する」ーー2ndシーズンで、冴島が白石と緋山に言われた言葉だ。過酷な現場に向かうことが多いドクターヘリで、向かいに冴島が座っているだけで安心すると励ました。
冴島はこの時の言葉を胸に、ずっと頑張っていたのか。

4話の冒頭、白石がかつて担当していた患者、メリージェーン洋子(古本新乃輔)が働く「バーめぐり愛」に集まった女子3人。(離れた席には藍沢も)。
白石と緋山が冴島を囲んで結婚をお祝していた。職業柄か、さっぱりとした性格の3人だが、いざという時に結束をみせる、この関係性が羨ましい。

ヘリを降りる決心をした冴島の表情は晴れやかだったが、5話の予告では冴島が職務中に倒れてしまう。もう一波乱ありそうで心配だ。

(柚月裕実 イラスト/Morimori no moRi)