ドラマ24『コタキ兄弟と四苦八苦』。バカ真面目な兄・一路(いちろう)を古舘寛治、ちゃらんぽらんな弟・二路(じろう)を滝藤賢一が演じる。脚本は『逃げ恥』『アンナチュラル』『獣なれ』の野木亜紀子。第2話のサブタイトルは求不徳苦(ぐふとっく/求めるものが得られない苦しみ)。

ご両親を騙すってことでしょう


兄「この結婚、大丈夫なのか。俺たちを、親戚をレンタルするなんてマトモじゃない」

レンタルおやじのムライ(宮藤官九郎)に頼まれ、新郎側の親戚として披露宴に列席する仕事を引き受けたコタキ兄弟。タダで飲み食いできてバイト代まで貰えるとあって弟(滝藤賢一)はノリノリだが兄(古舘寛治)は落ち着かない。
心配になった兄弟が高砂席に座る新郎新婦に探りを入れてみると、なんと新郎もレンタルだと言う。新郎側の客も、新婦の友人も、ぜーんぶレンタル。本物は新婦・手鞠ちゃん(岸井ゆきの)の両親と親族だけだという。
この規模の披露宴ならかなりお得な会場でも100万以上はかかりそう。プラス列席者と新郎のレンタル代。親族の交通費も出しているかもしれない。

「子供が産みたいんですって。式場を予約した後に逃げられたんだって。両親は西表島。帰ってしまえば後のことなんてわからない」
他のレンタルおやじに事情を聞いた兄は「ご両親を騙すってことでしょう」と憤る。


披露宴もいよいよ終盤。
カチャーシーを踊るのは沖縄の披露宴では定番だ。「かき回す」という意味のカチャーシーで、親族が交ざり合い、喜びを分かち合う。中心で踊る新婦の両親も幸せそうだ。

カチャーシーに参加しない兄に花嫁の手毬が声をかける。
「踊らないんですか?」
「ご両親に正直に言った方が良いんじゃないですか。お腹の令和ちゃんのためにも」
「親に申し訳なくて。大切に育ててもらったのに幸せな結婚ができなかった」
「だったら余計にきちんと話して」
「相手のこと聞かれても上手く話せる自信無いし、泣かれてもどうにもならないから」

花嫁の「手毬」という名前の由来は、披露宴の中で紹介されていた。「沖縄に古くから伝わる琉球手毬から取られました。玉の輿に乗れますように。幸せな結婚生活が送れますように。そう願いを込めて手作りされているもので、手毬さんを思う両親の気持ちが込められています」
きっと手毬は幼い頃からこの名前の通りに、幸せな結婚ができると信じていたはずだ。親や親戚も「あなたのウエディングドレスが見たいわ」なんて言っていたんじゃないだろうか。手毬がこの馬鹿げた披露宴を決行したのは「親に幸せな姿を見せたい、祝福されて子供を生みたい」という一心だろう。例えそれが一時的であっても。

子供を産んだら「離婚しちゃった、ごめんねぇ〜って、笑って」故郷に帰る計画らしい。
「昔は欲しいものがたくさんありました。かわいい服とか、都会のおしゃれなマンション。優しくてかっこいい旦那さんと幸せな家庭。何にも手に入らなかった。手に入らないものを数えるのはやめたんです。私はこの子を幸せにする。今はそれだけです。両親のことも幸せにします。私間違ってますか?」
間違ってるとか、間違ってないとかどっちでも良い。手毬の強い表情は説得力があった。


(イラストと文/まつもとりえこ)

ドラマ24『コタキ兄弟と四苦八苦』
テレビ東京 毎週金曜 深夜0:12〜
配信:Tver・Paravi・ひかりTV・GYAO

出演:古舘寛治 滝藤賢一 芳根京子 宮藤官九郎 ほか
脚本:野木亜紀子(『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』『獣になれない私たち』ほか)
監督:山下敦弘(映画『ハード・コア』『リンダリンダリンダ』ほか)
オープニングテーマ:Creepy Nuts「オトナ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
エンディングテーマ:スターダスト☆レビュー「ちょうどいい幸せ」(日本コロムビア)
チーフプロデューサー:阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー:濱谷晃一(テレビ東京) 根岸洋之(マッチポイント)平林勉(AOI Pro.) 伊藤太一(AOI Pro.)
製作:テレビ東京 AOI Pro.
制作著作:「コタキ兄弟と四苦八苦」製作委員会

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