ドラマ24『コタキ兄弟と四苦八苦』。生真面目な兄・一路(いちろう)を古舘寛治、不真面目な弟・二路(じろう)を滝藤賢一が演じる。
先週の予告を見て「今週はコメディー回かな」と思っていたが、良い意味で裏切られた!
さっちゃん(芳根京子)の過去が語られる今回。映像も美しく、自分も夢の中にいるような不思議な感覚があった。映画館のスクリーンでもう一度見てみたい。
第8話、サブタイトルは「五蘊盛苦(肉体と精神が思うがままにならない苦しみ)」。

オヤジ兄弟版「君の名は」


喫茶シャバダバはもともとさっちゃん(芳根京子)のお父さんが好きっだったお店だったそうだ。船乗りだったお父さんはすでに亡くなっている。
「同棲していた恋人と別れなくちゃいけなくて、どうしようかなー、どこに行こうかなーって思った時にここ思い出して」
アルバイトすることをノリと勢いで決定し、近所に引っ越してきた。
「どこに住んでもなんとでもなりますね」とコタキ兄弟に明るく話すさっちゃん。心の中で呟く(本当はあの部屋に居たかった)と言う言葉が切ない。


事件が起きたのはその翌日。朝、起きるとなぜかコタキ兄弟の体が入れ替わっている。
オヤジ兄弟で入れ替わってどうするんだとギャーギャー言い合うコタキ兄弟にさっちゃんが意外なひとこと。
「ずるい、私が替わりたかった!」

さっちゃんの夢の中へ


入れ替わった原因を確かめるべく、コタキ兄弟とさっちゃんは近所の神社があるY字路に向かう。

そこで今度は3人が入れ替わる。
「やったー!男になったー!」と喜ぶさっちゃん(姿は兄の一路)。これで2万2千円分のふえるワカメを売りつけた三河屋とも戦える!


唐突にシーンはY字路へ戻る。
今度は弟・二路になったさっちゃん。再びふえるワカメを売りつけた三河屋を追いかける。

ここで私はようやく気づいた。これはさっちゃんが見ている夢だ。
よく見ると神社の見た目も夢っぽいし、白昼に流れ星がはっきり見えるのも夢っぽい。
(「夢ってこういう感じだよね」をドラマで表現してしまう野木亜紀子の脚本、凄い……)

さらに再び、シーンはY字路へ。コタキ兄弟では無く、ムラタ(宮藤官九郎)がいた。
さっちゃん「今度はムラタさんと入れ替わるんですね」
ムラタ「いいえ、私は入れ替わりません」
このセリフも夢あるあるだ。

さっちゃんは同棲していた恋人を思い出していた。好きなまま別れることになってしまった恋人。
「私が男で強かったら全部解決するのかなぁって。苦しいことも全部。でもホント言うと男になりたいわけじゃないんです。女の体で女の人が好きなだけで」

ムラタが五蘊について語り出す。
「苦しみから逃れる方法を教えてあげましょうか。五蘊は空なんです。実態はありません」
五蘊というのは人間を形成する肉体や精神のこと。うーん、難しい。
さっちゃんも「さっぱりわかりません」とキョトン。

「大丈夫、すべての道はローマへ通ず」
ムラタがさっちゃんに右側の道へ進むよう促す。
父から「行ってはいけない道」と教えられていた右側の道。進むさっちゃんの表情は軽やかだ。

「すべての道はローマへ通ず」とは一路曰く「どんなに遠回りをしても最後は在るべき場所に辿り着く」ということ。
さっちゃんも、そして名前に「路」が付く一路と二路も、みんな迷いながら、きっと在るべき場所に辿り着く。
(イラストと文/まつもとりえこ)

ドラマ24『コタキ兄弟と四苦八苦』
テレビ東京 毎週金曜 深夜0:12〜
配信:Tver・Paravi・ひかりTV・GYAO

出演:古舘寛治 滝藤賢一 芳根京子 宮藤官九郎 ほか
脚本:野木亜紀子(『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』『獣になれない私たち』ほか)
監督:山下敦弘(映画『ハード・コア』『リンダリンダリンダ』ほか)
オープニングテーマ:Creepy Nuts『オトナ』(ソニー・ミュージックレーベルズ)
エンディングテーマ:スターダスト☆レビュー『ちょうどいい幸せ』(日本コロムビア)
チーフプロデューサー:阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー:濱谷晃一(テレビ東京) 根岸洋之(マッチポイント)平林勉(AOI Pro.) 伊藤太一(AOI Pro.)
製作:テレビ東京 AOI Pro.
制作著作:「コタキ兄弟と四苦八苦」製作委員会

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