最近の運動会は、梅雨入り前に開催されることも増えていますが、親世代にとっては、運動会は秋の風物詩ではないでしょうか。先日、この猛暑の中、公園で走り込みをしている親子を見かけました。あれは、知人のAさん親子?! そして運動会とA親子にまつわる、こんな話を思い出したのです。

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 運動会で白熱するのは、子どもだけではありません。親も当日は早朝からお弁当作りに励み、子どもの活躍に手に汗握り、一生懸命応援します。とはいえ、運動会の主役は子どもなので、親の出番はそうないだろうと思っていました。

 ところが、子ども以上にヒートアップしていたママがいたのです。それが、前述のAママ。Aママは教育熱心な人として知られ、小学4年生になる一人息子のA君は、学習塾、水泳、サッカー、陸上と習い事に忙しく、遊ぶ暇がないのだそう。母の期待を一身に背負ったA君は、文武両道を目指して、頑張っていました。

 そんな親子にとって、年に1度の真剣勝負の場が運動会。その年、A君は100m競走に出場することになりました。運動会の数カ月前から、A親子は特訓を開始! 放課後に公園で走り込みをし、Aママも熱心に檄(げき)を飛ばしています。「この暑い中で熱心だねぇ・・・」と周囲はあきれ半分で見ていました。

 熱心過ぎるAママは、こんな意外な行動にも出ていました。参観日で保護者が小学校に来ていたある日、Aママは、同じクラスで足が速いと評判のB君のママに声をかけました。

 「B君、すごく足が速いよね。クラスで1番瞬足の男子は、B君だって聞いたよ。なにか特別な練習をしているの? シューズはどこのを履いてる? インコースに割り込むためには、どうしたらいいと思う?」

 急にまくしたてられたBママはとまどいながら、「うちの子は元気が取りえだから、いつも公園で遊んでいるくらいで、特別なことは何もやっていないですよ。シューズも近くのショッピングモールで安く買ったものです」と答えました。するとAママは、納得できなかったようで、「何も練習もせずに、あんなに足が速いなんてうそみたい。絶対何かやってるでしょう?」としつこく食い下がったのだと言います。

 筆者は、Bママと交流があるので、「子どもの足の速さなんて気にしたことがなかったから、うちの子がクラスで一番速いなんて、初めて知ったわ。きっとAママさんは、負けず嫌いなのね。『子どもの運動会でも絶対に勝ちたい!』と気迫がすごかったわ」とBママから話を聞いて、あまりの熱心さに驚いたのでした。

 そして運動会の当日のこと。100m競走が始まりました。

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 一緒に走るメンバーは、事前の練習でタイムをはかり、タイムの遅い子から速い子の順番で4人ずつのグループが作られます。熱心に特訓をしていたA君と、もともと足の速いB君は、1番足の速い同じグループで競うことになりました。

 筆者はBママと一緒に、保護者の観覧席から声援を送り、B君の出走順番を待っていました。1番足の速い男子のグループがスタート位置に着きました。いよいよです。位置について…よーい、ドン! ピストルの合図とともに、A君とB君、ほか2人の男子が駆けだします。スタートを切った瞬間、A君が不自然にインコースにグッと寄り、B君にぶつかりそうになりました。それをスッとよけ、B君は風を切って駆け抜けました。

 実は、何度か練習の時に、インコースに無理に割り込もうとするA君にぶつかられるトラブルがあったようで、B君はそれを予測して動いたのだそう。B君は、ぐんぐんとスピードをあげ、見事、1位でゴールテープを切りました。

 そんな息子の勇姿を見て、うれしそうなBママ。私と一緒に「すごかったねー!」と喜びあっていると、後ろからチッと舌打ちが聞こえてきました。あまりに大きなその舌打ちに、「え?」と後ろを振り返ると、腕組みしたAさんが立っていたのです。

 若干気まずくしていると、Aママは「へぇ〜、何もしていないのに、すごいじゃん」と言い捨てて去って行ったのです。息子が負けて悔しいのかもしれないけれど、たかが子どもの運動会なのに…と、熱心過ぎるあまり大人げない姿を見せるママにドン引きした瞬間でした。

 この出来事は、去年の運動会のこと。今年も猛暑に負けず、特訓をしているA親子。そしてA君とB君は、また同じクラスでリレーに出るそうです。またもやAママの大人げない行動を目撃することになるのでしょうか・・・?

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tsukuko

やんちゃな3歳男児と、おしゃまな5歳女児のママ。幼稚園、保育園、ご近所のママコミュニティを回遊中。