ヨウジヤマモト オム(Yohji Yamamoto HOMME)は、2023年春夏コレクションを、東京のヨウジヤマモト青山本店にて発表した。Snow Manのラウール、遠藤憲一、大沢たかお、伊藤英明、要潤、城田優、加藤雅也、竜星涼がモデルとして登場。各々、眼光鋭く観客をじっと見据えるような仕草や、一瞬舞うような動きを取り入れつつランウェイを闊歩した。

非対称性が描く独自性

19世紀初頭の紳士服に着想を得た前シーズンに続き、今季もクラシカルな西洋の風景を彷彿させる佇まいが散見された。ただ、時代を遡ってスタイルを踏襲するだけではなく、必ず様式からあえて逸らした部分があり、その非対称性こそがヨウジヤマモト独自の風格を描き出している。

例えばテーラードジャケットやワイドパンツにはプリーツのパーツをあしらい、シャツの襟は二重に。リネンのジャケットには部分的にレザーを切り替えることで、質感のコントラストを見せた。また、テーラードジャケットにはチェーンをセット。ジュエリーとしての華やかな要素と、金属質の鋭利さの両方をもたらし、装いにアクセントを効かせている。

また、端切れの生地を不均一に並べたパッチワークジャケットや、風化した壁面のような風合いに仕上げたランダムなペイントのセットアップ、合わせの部分をジグザグに仕上げたブラックデニムジャケットなども登場した。

軽快さ、飄飄とした佇まい

端正ながらも軽快な装いが春夏らしさを感じさせた。上品な光沢感を備えたネイビーのロングコートはふわりと空気を含み、歩を進めると波のように揺れ動く。ジャケットに合わせたバルーンパンツやワイドパンツも、布地をたっぷりと使い、エレガントなフォルムに。足首の見えるクロップド丈に仕上げることで、飄飄とした佇まいを演出する。ワークウェアを思わせるオールインワンは、生地のドレープを生かしてさらりと流れるように仕上げた。

モチーフと質感のバランス

グラフィックや文字のプリントはしばしばヨウジヤマモトのコレクションに登場するディテールだが、生地の質感とモチーフの絵画的なバランスが印象深い。ベロアのセットアップには、華やぐ夜の街を照らすネオンのように絢爛な模様が全面にあしらわれている。ベロア素材の柔らかな質感と光沢が艶やかさを際立たせ、その存在感をより一層強めていた。

自在にパステルを走らせたかのようなプリントや、モノクロ写真、抽象的な風景の転写プリントは、生地のシワ感や凹凸と相まってノスタルジックに写り、燃えるような赤や、冷たい温度感のブルーといったグラフィックの様々な色彩は“黒”の生地に載せられることで一様に影をまとっている。また、ジャケットの背面やフロントに施された“Born in Kingdom”“I'm so bored with Rules”などの文字は、まるでタトゥーのように生地になじみ、余韻を残していった。