2022年に登場したスマートフォンを振り返ってみると、分かりやすく派手な変化は少なかったかもしれません。しかし、今後のトレンドを先取りしたような個性的なモデルの姿も。印象的だった5つの機種をピックアップしました。
●“好きを極める”というコンセプトが光った「Xperia 1 IV」
ここ数年、どうしてもハイエンドのスマートフォンというとカメラの進化のみが目立ちがちでしたが、2022年6月に発売された「Xperia 1 IV」は、カメラはもちろん、それ以外のチャレンジが目立った1台です。
例えば、録音アプリ「Music Pro」によって、楽曲作成における“マイク”としての需要にアプローチきたのは尖っていたポイント。なお、後に登場した「Xperia 5 IV」でも同様の機能がサポートされています。
他にも、光学望遠ズーム対応のカメラを備えていたり、ライブ配信需要を強く意識したゲーミングギアとのセット販売も実施されていたなど、主にクリエイティブ用途での“好きを極める”というシリーズコンセプトの良さが、次第に色濃く見えてきたモデルでした。
Xperia 1 IVはNTTドコモ、au、ソフトバンクが取り扱っているほか、オープンマーケット向けモデルもメーカー直販サイトやECサイトで販売されています。
●衛星通信の将来性を感じた「iPhone 14」「iPhone 14 Pro」シリーズ
「iPhone 14」「iPhone 14 Pro」シリーズは、4G/5Gのモバイル通信が使えないシーンでも、衛星通信経由で緊急SOSの連絡が行えるようになったことが興味深い1台でした。
残念ながら、このサービスはまだ日本では使えませんが、携帯電話として通信の将来性を感じさせたものでした。なお衛星通信はファーウェイの「Mate 50」も対応済みですが、ユーザーへの影響力としてはやはりiPhone 14シリーズの方がかなり大きいでしょう)。
そんなiPhone 14シリーズの中でも目立った進化があったのは、上位モデルの「iPhone 14 Pro/iPhone 14 Pro Max」。カメラのセンサー強化や、常時表示ディスプレイの採用、インカメラに連動する新UI「Dynamic Island」など、インパクトある変化が多くみられました。
●AI利用のサービスが正当進化した「Pixel 7 Pro」
2022年に最も販促キャンペーンの勢いがあったスマートフォンは、おそらくGoogleの「Pixel」シリーズでしょう。直販サイト「Googleストア」での下取りやポイント還元が太っ腹だと話題になりました。
また1世代目のGoogle性プロセッサーTensorを搭載した廉価モデル「Pixel 6a」は圧倒的なコストパフォーマンスの高さや存在感を放っていました。
新機種としての性能を含めると、新機種上位モデルの「Pixel 7 Pro」が、オンデバイスAIの正統進化を感じさせた1台でした。
特に、デジタルズームを組み合わせて最大30倍までの“超解像”望遠撮影は評判が良く、ソフトウェア処理の巧みさによって、ズームしてもかなり綺麗に撮れる印象。ボケ補正機能も追加され、カメラスマホとしての実力を堅実に高めてきました。
Pixel 7 Proと標準モデルの「Pixel 7」、Pixel 6aはauとソフトバンクが取り扱っているほか、直販サイトでも販売しています。
●防水仕様のゲーミングスマホ「ROG Phone 6」
ここ数年、パソコンだけでなくスマートフォンでもゲーミング市場がにぎわっています。2022年10月発売のASUS(エイスース)「ROG Phone 6(アール・オー・ジーフォン・シックス)」は、ゲーミング特化のモデルとしては珍しく生活防水に対応した1台でした
ゲーミングスマホの防水仕様は、グローバル市場に目を向けると前例がない訳ではありませんが、一般的に、排熱が重要になるゲーミングスマートフォンでは、密閉性が大切になる防水性能を両立させるのは難しいとされます。そんな中、同機はIPX4相当の防水をサポートしてきており、挑戦的な1台だったと感じます。
ゲーミング需要に特化した端末でありながらも、日常使いもしやすくなったことで、より間口は広がったと言えるでしょう。価格帯は13万円前後とハイエンドクラスですが、「ゲーミングスマートフォンもどうだろう」と考えるきっかけになる機種かもしれません。
ASUSではメモリとストレージを強化した「ROG Phone 6 Pro」も展開。また2022年はZenfone(ゼンフォン)ブランドの小型ハイエンドモデル「Zenfone 9(ゼンフォンナイン)」も発売し、精力的な印象でした。いずれも直販サイトやECサイト、家電量販店で販売されています。
●普及価格帯でもカメラ強化、差別化図った「AQUOS sense7」
先述の「Pixel 6a」を除けば、普及価格帯のミッドレンジモデルで特に強いインパクトだったのがシャープの「AQUOS sense 7(アクオス センスセブン)」でした。
デザインとしてもフラグシップの「AQUOS R7」に寄せてきており、背面中央に大きなカメラを搭載してきたのが特徴です。
この背面メインカメラは、1/1.55インチの大型センサーを搭載。言い換えるならば、他社のハイエンドモデル並みのセンサーサイズを、ミッドレンジモデルに採用したことを意味します。
そもそも、AQUOS senseといえば、普及価格帯のスマートフォンとして人気を博してきたシリーズ。一方、20221年からエントリー向けに「AQUOS wish」シリーズも提供されてきています。sense 7では、こうした廉価シリーズとの差別化を図りつつ、senseシリーズを使い慣れてきた層に上手く付加価値を訴求できたモデルでした。
AQUOS sense7はNTTドコモ、au、楽天モバイル、UQ mobileが取り扱っており、オープンマーケット版も家電量販店やECサイトで販売しています。またディスプレイがひと回り大きい「AQUOS sense 7 plus」はソフトバンクのみ取り扱っています。