免許制度や保険などの関係で、世界的に最もホットなのは「125ccクラス」といっても過言ではありません。バイク趣味のエントリークラスでもあるだけに、数多くのメーカーが注力しています。そのため日本国内で購入できるモデルだけでもかなりの数があり、どれを買おうか迷っている人も多いことでしょう。
そこで今回は、ベテランジャーナリストが自分で購入したい「125cc(原付二種)バイク」を5車種厳選。それぞれの推しポイントについて解説しますので、ぜひバイク選びの参考にしてみてください。
●今欲しい「125ccバイク」:ホンダ PCX
・価格:36万3000円(税込、以下同)
・エンジン形式:124cc水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒
・最高出力・最大トルク:12.5ps/8750rpm・12N/6500rpmm
・車重:133kg
・シート高:764mm
「原付二種スクーターで何を選ぶ?」と問われたら、筆者は迷わずホンダの「PCX」を選択します。
2010年に発売され、2021年モデルで第4世代へと進化したこのプレミアムスクーター。先日、最新の排出ガス規制に適合したばかりの2023年モデルに試乗したのですが、相変わらず静かでジェントルなエンジンフィールや、微速域からイージーに扱えるハンドリング、そして上質な乗り心地にあらためて感心しました。
装備についてはほぼ全部盛りとなっており、アイドリングストップシステムやトラクションコントロール、フロントABS、スマートキー、USB Type-Cソケットなどを採用。シート下のラゲッジスペースは容量が30Lもあり、これは原付二種スクーターで最大クラスです。
ライバルにヤマハの「NMAX」というモデルがあり、こちらはリヤにもABSを採用するなどPCXを一歩リードしています。ホンダにはない装備として「Yコネクト」と呼ばれるスマートフォンとの連携機能があったのですが、2023年モデルで省略されてしまいました。
NMAXも走りは優秀なのですが、トランクスペースの容量が約23Lとやや小さく、積載性の点からも筆者はPCXを推しています。
●今欲しい「125ccバイク」:スズキ GSX-R125 ABS
・価格:45万3200円
・エンジン形式:124cc水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒
・最高出力・最大トルク:15ps/10500rpm・11Nm/8500rpm
・車重:137kg
・シート高:785mm
ライトウェイトスポーツという単語がピッタリ当てはまるのが、スズキの「GSX-R125」です。エンジンは最高出力15psを発生する水冷シングルで、7000rpmを超えてからグングン力強くなるという典型的な高回転型の特性です。
裏を返せば、低中回転域はやや非力なので、信号ダッシュではスクーター勢に後れを取ることも。とはいえ、頻繁にギヤをシフトしてパワーバンドを維持する楽しさは、マニュアルミッションの4輪に乗っている方なら共感していただけるでしょう。
ハンドリングは完全にスーパースポーツのそれで、車体の傾きと同時にコーナーのインへ向かって鋭く旋回します。倒し込みや切り返しの軽さは250ccクラスにはないもので、原付二種であることが有利に働きます。ヤマハから間もなく「YZF-R125」というフルカウルスポーツが登場しますので、その直接対決が今から楽しみです。
●今欲しい「125ccバイク」:SYM NH T 125
・価格:39万9300円
・エンジン形式:124.1cc空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒
・最高出力・最大トルク:10.9ps/9000rpm・9.3Nm/7500rpm
・車重:150±6kg
・シート高:810mm
原付二種クラスでは非常に珍しいアドベンチャーモデル。SYM(エス・ワイ・エム)は、1954年に創業した三陽工業(SANYANG MOTOR)の二輪ブランドで、台湾国内ではキムコ、ヤマハに次ぐシェアを持っています。
「NH T 125」は、183ccの「NH T 200」と車体を共有しているためやや重いのですが、搭載されている空冷シングルはこの大柄なボディに対して必要十分なパワーを発揮します。微振動やメカノイズは不快に感じない程度には抑えられていますし、モアパワーを望むなら「NH T 200」を選ぶという手もあります。
ホイール径はフロント19インチ、リヤ17インチで、アドベンチャーらしい大らかなハンドリングにまとめられています。前後のサスペンションの動きも意外と良好で、ダート走行もそれなりにこなしてくれます。
前後にABSを備えていたり、ギヤポジションインジケーター付きのデジタルメーターを採用しながら、ホンダの「CT125・ハンターカブ(44万円)」よりも安いので、もっと知られてほしい1台です。
●今欲しい「125ccバイク」:レオンアート パイルダー 125
・価格:66万9000円
・エンジン形式:125cc水冷4ストロークSOHC2バルブ並列2気筒
・最高出力・最大トルク:--ps・--Nm
・車重:188kg
・シート高:700mm
レオンアートは、2004年に誕生したスペインのブランドです。「パイルダー 125」は、同社の代表が日本のロボットアニメ「マジンガーZ」が好きなことから命名されたという、非常に遊び心あふれた1台となっています。
搭載されているエンジンは原付二種では珍しい水冷並列2気筒で、そのエキゾーストノートはまさに咆哮(ほうこう)! スタイリングはクルーザー(アメリカン)なのに排気音はレーシングマシンというミスマッチに度肝を抜かれます。
全長はほぼ2.4mもあり、リヤタイヤの幅は軽自動車も真っ青の190mm! それを支えるのは片持ち式のスイングアームと、エンジンだけでなく車体構成も原付二種の枠を超えています。
その分ハンドリングはやや個性的で、操縦に慣れるまで時間を要する可能性も。とはいえ、低いライディングポジションもあって街中での注目度は想像以上。ぜひ華麗に乗りこなしたいですね。
●今欲しい「125ccバイク」:フェニックス ガンナー125
・価格:40万4800円
・エンジン形式:124cc空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒
・最高出力・最大トルク:--ps・--Nm
・車重:105kg
・シート高:---mm
最後に紹介するのはタイの新興メーカー、フェニックスエンジニアリングが放つレジャーバイク、「ガンナー125」です。2021年に50cc版が日本に初上陸し、続いて同年9月に100cc版の予約がスタート。そして125は昨年の東京モーターサイクルショーで初お披露目されました。
バズーカ砲のようなメインフレームの内部には燃料タンクが収まり、その前後にヘッドライトとテールランプをレイアウトするという基本デザインは「50/100/125」に共通します。
筆者は50と100に試乗したことがあるのですが、信号待ちで横断歩道を渡っている人にガン見されたのは一度や二度ではありません。また老若男女問わず声を掛けられ、何ccなのか、いくらなのか、もう売っているのかなど、質問攻めにあっています。それぐらい写真で見る以上にインパクトのあるスタイリングなのです。
さて走りの方はというと、フレームがやや過剛性な印象はあるものの、特異な外観とは裏腹に扱いやすいハンドリングとなっています。車高が低く、さらにサスペンションのストロークが短いので、コーナリングですぐにステップを地面に擦ってしまいますが、ペースを落とすなどすれば対処できます。
入荷ロットごとに予約で完売という人気モデルだけに、欲しい方は早めに動くのが吉でしょう。
●間もなくヤマハから原付二種のマニュアルトランスミッション車が登場
3月に東京ビッグサイトで開催された東京モーターサイクルショー2023において、ヤマハは市販予定車として125ccスポーツバイク3機種を展示しました。フルカウルスポーツの「YZF-R125」、ネイキッドの「MT-125」、そしてネオクラシックの「XSR125」です。
3機種ともすでに海外でリリースされており、国内販売が期待されているモデルです。筆者はYZF-RとXSRのそれぞれ155ccモデル(並行輸入車)に試乗したことがあり、どちらも非常に楽しかったのです。そのため間もなく登場する125ccの3台には期待しかありません。発売されたらまた詳しく紹介したいと思います。