離婚し、その後別の方と出会い再婚する方、もちろんいらっしゃるでしょう。ただし、再婚時に相手に子どもがいて同居をする場合は、血縁関係のない親子を有する世帯、通称『ステップファミリー』となります。

ステップファミリーのケース

ステップファミリーになると、家族構成図はより複雑になってきます。下記のステップファミリーのケースで見てみましょう(以下はすべて仮名です)。
 
鈴木忠さんは、前妻との間に子ども(恵子さん)がいます。後妻は前夫・山田浩さんとの間に生まれた子(智子さん)を連れての再婚です。また、鈴木忠さんと後妻の間にも子ども(一郎さん)が生まれました。
 
〇前妻との間に授かった「恵子さん」
〇後妻との間に授かった「一郎さん」
〇後妻の子の「智子さん」

 


 
後妻の子ども・智子さんとは、養子縁組しました。この場合の相続は、どのように考えたら良いのでしょうか?
 

養子縁組した子どもの相続の扱いは?

養子縁組をした子どもは、法律上では血族と同じ扱いになります。ですから、実子と同じ法定相続分があります。忠さんのケースでは、養子・智子さんは実子・恵子さんと一郎さんと同じ権利があるということです。
 


 
上記のとおり、配偶者である後妻は半分(2分の1)、子どもたち3人で半分(2分の1)となるので、それぞれ6分の1ずつとなります。ここで、2種類の養子縁組についてお話しましょう。
 

2種類の養子縁組

養子縁組には2種類あります。
 
<特別養子縁組>
特別養子縁組とは、実親との関係を解消する養子縁組です。特別養子縁組は夫婦で養子縁組をします。
 
実方の血族との親族関係が終了する制度なので、お子さんがいない夫婦や、福祉の面で実親との関係を絶った方が良い場合に使うケースが多いと思います。
 

<普通養子縁組>
この制度は、実の父・実の母との関係は継続します。ステップファミリーのケースでは、こちらの制度が該当します。
 
また、結婚相手の両親と養子縁組をして、相続対策に利用するケースもあるのです。相続の権利がある一方で、扶養の義務も生じてきますのでご注意ください。
 
智子さんは、忠さんと『普通養子縁組』をしました。実父、山田浩さんとの親子関係はどのようになるのでしょうか?
 

『普通養子縁組』実父との親子関係はそのまま

『普通養子縁組』は、前記したように実の親の相続においても法定相続人となります。つまり、智子さんには戸籍上、3人の親がいることになるのです。
 
〇実母
〇実父
〇養父

 
智子さんはこの3人の親が亡くなった際に、法定相続人となります。また、兄弟姉妹との関係も血族と同様です。つまり、法定相続人になる可能性が非常に高いポジショニングとなるわけですが、一方で扶養義務も生じてきます。
 

『法定相続の盲点』忠さんが考えなくてはいけない相続対策

忠さんは養子縁組した智子さんも実子と同じだと考え、平等に自分の財産を残したいと思っています。しかし法定相続には盲点があります。
 
それは、智子さんの実父・山田浩さんの資産状況にもよりますが、智子さんは、実父からの相続もあるという点です。恵子さんと一郎さんは実母からの相続のみです。
 
また、別のケースも想定してみましょう。例えば、忠さんに未婚の妹がいるとします。
 
その妹は、将来めいである恵子さんに面倒をみてほしいと考えていますが、資産は多くありません。もし、忠さんの妹の面倒をみることになった場合、恵子さんの負担はとても大きなものになると思われます。
 
このような状況では、恵子さんに一郎さんや智子さんにはない役目、いわゆる“父から引き継いだ役割”が生じてしまいます。これを役割相続といいます。
 

『役割相続』を実現するには、相続対策が不可欠

忠さんとしては、自分の実の妹の面倒をみてくれる恵子さんには、それを配慮した相続分割をしたいと思っているようです。
 
しかし、相続の場合、思いを形にするには事前の準備が必要です。忠さんのような複雑な相続が想定される場合は、遺言書やエンディングノートによる対策が必須ではないでしょうか。
 
実際忠さんの妹の面倒をみるかどうかは、恵子さんの意志を確認する必要もあります。また、金銭的にどのくらい必要になるかは、その時の状況になってみないと分かりません。
 
そして、月日がたてば恵子さん自身の生活にも変化(結婚、出産など)があるでしょうから、お互いの気持ちを確認することを怠ってはいけませんし、双方の生活環境によりそった答えを導き出す必要もあるでしょう。
 
一般家庭においても、相続は複雑化することがあります。ステップファミリーは、一般家庭よりも相続が複雑化する可能性が高いかもしれませんので、相続対策をしっかりと行うことが重要といえるでしょう。
 
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士