「貯蓄のできる家計づくり」にあたって、「先取り貯蓄」は有効な手段です。確実に毎月積み上げていくことで、資産形成を実行することが可能になります。   しかしながら、すべての人にとって完璧な方法はなく、また、やみくもに積み立てればよいというものではありません。収入から生活費等の支出後に残った金額を貯蓄に回す「残し貯め」も、選択肢の1つです。   それぞれのメリットや注意点をふまえ、自分にとっての「ベスト」を検討したいものです。

資産形成のキホンは、「先取り貯蓄」

「なかなか貯蓄ができない」という声は多いものです。そこで、貯蓄のできる体制づくりとして、お勧めするのが「先取り貯蓄」です。給与天引きや振り込まれた給与から一定額を別口座に移すことで、先に貯蓄をしてしまう方法であれば、確実に貯められますし、口座に残った金額の範囲内で、食費や住居費などの日常生活費のほか、レジャーなどに使うことが可能です。
 
毎月の給与から確実に貯蓄することが可能になりますので、ストレスなく、将来に向けて安心が得られます。
 

自分にあった貯蓄方法であるべし!

たしかに、「先取り貯蓄」は有効ですが、家計管理や資産形成の方法には正解がありません。
働き方やそれぞれの経済状況、趣味趣向、価値観はさまざまです。自分にあった、最適と思える方法を探るべきです。資産形成において、押さえておきたい共通するポイントは以下の2点です。
 

■無理のない金額であること

夢の実現や将来の生活プランのための目標額を決め、貯められる年数と無理のない金額を設定しましょう。家族旅行などのレジャー費用も大切な支出ですので予算に組み込みます。また緊急予備資金として、すぐに現金化できるよう準備しておくことも忘れないようにしましょう。
 

■継続できること

目標達成へのポイントは、継続することです。そのためには、子どもの進学や住宅購入など人生におけるライフプランを考える必要があります。貯めやすい時期と貯めにくい時期がありますので、継続して貯蓄に回せるような習慣と体制づくりを心がけましょう。
 

「残し貯め」でも賢く貯めることは可能! 成功するポイント

都内に住む共働き世帯のAさんは、「先取り貯蓄」を始めたものの、違和感がありました。
当初、ライフプランの変化に備えて、毎月の積立額を少なめに設定したため、このままでは、目標額に到達できないことに気づきました。2人の収入があれば、子どもが義務教育中は習い事に若干のお金がかかるものの、多めに貯蓄することが可能です。毎月の積立額を増やしたところ、夏休み中の食費や光熱費、梅雨時の交通費など季節により大きく変動するため、先取り貯蓄では残った金額で生活することに不安を感じたようです。
 
そこでAさん夫妻は、(1)家計管理をきちんとすること、(2)無理・無駄をしないこと、という2つのルールを決めたうえで「残し貯め」に切り替えました。
“残さなくちゃいけない”というストレスはなく、「今月はこれだけ残った」と、収支をふりかえりながら、楽しく貯蓄ができているそうです。また、以前よりも、モノの値段やサービスの価値について、夫婦で話し合う機会が増えたとのことです。
 

「残し貯め」成功のポイント

Aさん夫妻は、「残し貯め」作戦により、思いのほか、順調に金融資産額が増えています。何よりもストレスなく、生活を楽しみながら貯蓄ができていることがよいですね。お子さまの年齢や夫婦それぞれの働き方によっては、今後は、今ほど貯められない、ということを想定しているからこそ、貯蓄ができているようです。
 
「お金に向き合う姿勢」が何よりもポイントといえます。決して、自由気ままに生活するのでなく、30年先の老後、10年先の教育費ピーク時、そして現在と、「長期」「中期」「短期」について資金計画ができていることが重要です。
 

共通するのは、「自分らしさ」

王道ともいえる「先取り貯蓄」は、毎月の積立額の設定と期間が決まれば、iDeCoや保険を活用することで、自動的に資産形成の「仕組みづくり」が可能です。ただし、人生は思うようにいかないこともあります。解約ができない、解約ペナルティー等がある場合も多いため、予定外や突発的なリスクについての対策は講じておく必要があります。
 
一方で、「残し貯め」は、目標額設定後も臨機応変に対応できますが、日々の家計管理には強い意志が不可欠ですし、手間がかかります。
 
いずれにしても、やみくもに「貯める」のは避けたいものです。ゴールのイメージができず、不安が消えることはありません。また「ストレス」がつきまとうものです。
まずは、「お金」と向き合うこと、そして、自分にあった「お金」との付き合い方ができるといいですね。
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士