毎年のように全国各地で自然災害が起こっています。高額になっていく保険金支払いのために火災保険の保険料がどんどん上昇しています。   一方で損害保険代理店の店舗数が減っています。経営者の高齢化や通信販売の普及など事情はありますが、災害時対応の知識を持つ身近な頼れる存在である損害保険代理店との関係が変わっていくことに着目しました。

損害保険代理店数が減っている

東日本大震災時に、被災地内にいた損害保険代理店としてスムーズに保険金請求の支援が行えた私ですが、今は損害保険代理店を廃業しています。契約は別の代理店に引き継ぎました。
 
さまざまな事情はありますが、事務効率等のため損害保険代理店の集約化が進んでいた流れに沿った形です。一般社団法人日本損害保険協会によると、損害保険代理店数は減少し続けています。
 
しかし、銀行の窓口販売が行われることになったり、大手保険代理店の従業員数が多いことなどから、損害保険募集人の人数自体はそれほど減ってはいません。
 
といっても、銀行や大手の場合は担当者の転勤等も頻繁に行われます。自動車保険も通販型自動車保険の普及により、昔から長い付き合いがある地域の保険代理店に自動車保険も火災保険もお願いしているような家庭は減っていくでしょう。
 
それにより、事故や災害が起こったらなじみの保険代理店の担当者の携帯電話に電話するようなケースも減っていくでしょう。もちろん、いざ事故や災害が起こった場合には、コールセンターへ電話をすることで保険会社としての対応は十分なのかもしれません。
 
かつて私は、損害保険代理店というよりもFPとして、東日本大震災で被災されたお客さまの安否確認を行いましたが、そこまでは損害保険代理店として行う業務ではないのかもしれません。
 
しかし、事故や災害の際に頼りになる存在は保険という安心を売る商品に付随していてもいいのではないかと思います。
 

大規模な災害報道時に損害保険の見直し相談を

災害時にどこまで親身に対応してくれるか分かりませんが、契約している損害保険の代理店の担当者とは気軽に連絡がとれる関係であることは悪いことではありません。
 
住宅の火災保険はかつて35年の長期契約が主流でしたが、今は長くても10年となっています。地震保険は5年更新です。地震保険に加入していれば5年に一度は損害保険代理店の担当者と会うきっかけになります。もちろん、振込用紙と継続手続きの書類の郵送で済ませることもできますが、5年もたてば担当者が変わっているかもしれません。きちんと担当者と補償内容の確認をしてみましょう。
 
ただ、これだけ毎年大きな自然災害が起こっていると、5年でも長いかもしれません。自動車が水没している映像も流れています。自動車保険は1年から3年の更新です。自動車保険の更新の際に、別の代理店の契約であっても、火災保険と地震保険の補償内容も一緒に確認してもらうとよいでしょう。
 
例えば、自動車保険は車両保険に加入していれば、洪水等による水没も対象となります。しかし津波の場合は補償の対象外が原則です。
 
土砂崩れによって家が倒壊した場合は原則火災保険の対象となりますが、水災補償を外していると補償されません。標高は高いし近くに土砂崩れが起きそうな場所も無いからと水災補償を外している方も多いかもしれません。しかし数キロ先から大量の土砂が流れてきて被害に遭うことは広島などで近年起こっています。
 
自然災害の被害の恐ろしさを知ったら、改めて自分の住まいの周辺の状況を確認して補償を見直す相談を保険代理店の担当者と行ってください。
 

保険代理店担当者の携帯電話番号を知っておく

銀行や大手の損害保険代理店では、保険代理店担当者個人の携帯電話番号を顧客に教えることは難しいかもしれませんが、社用の携帯電話番号なら教えてもらえるかもしれません。
 
被災時の速やかな保険金の請求がその後の復旧を手助けしてくれます。被災直後に電話やインターネット通信ができる状態でないとしても、保険代理店担当者の携帯電話にSMSを送信して被害を受けたことだけでも伝えられると、その後の手続きがスムーズになります。
 
最近はLINE等のSNSを活用したシステムも充実してきてはいますが、災害時にインターネット環境が使えるとも限りません。保険会社が災害発生後すぐに事故や災害時受付コールセンターを24時間、回線と人員を大量に用意できるか分かりません。電話がなかなかつながらなくて復旧作業に支障が出ては困ります。
 
そんな時に、少なくとも保険代理店の担当者と連絡が取れることは安心につながります。事故の受け付け順はあくまでもコールセンターへの着信順かもしれません。
 
しかし、被災直後の混乱や不安の中で契約時に会った担当者に連絡できること、実際に自宅に来たことがあり、どんな被災状況かを伝えやすい存在は心強いです。保険料の安さはもちろん大切ですが、被災時や頻発する災害報道時の不安を気軽に相談できる保険や災害時対応のプロの連絡先を把握していることも安心材料の一つになります。
 
出典
一般社団法人日本損害保険協会「2020年度損害保険代理店統計」
 
執筆者:西村和敏
ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
宅地建物取引士