障害年金の相談を受けていると、ちょっとした思い違いをしている人や、誤ったうわさ話を信じ込んでいる人が少なくないことに気づきます。そうした人たちは、後になって「しまった! 」となりかねません。   そんなことにならないために、あらかじめ正しい知識を身に付けておきましょう。第7回は「健康保険の保険料も免除される? 」です。

障害年金と健康保険は別の制度

障害年金を最近、受給し始めた人から「健康保険の保険料も免除されますか」とたずねられました。確かに、2級以上の障害年金の受給権を得ると、国民年金の保険料は法定免除になります。どうやら、そのことと混同しているようでした。国民皆保険制度で健康保険への加入は必須ですから、その保険料が免除されると助かります。でも残念ながら、障害年金と健康保険は別の制度です。
 

健康保険にも、いろいろな種類がある

健康保険にも、いろいろな種類があります。企業などで就業している人とその家族らを対象とした「健康保険」、自営業者や無職の人、その家族らが加入する「国民健康保険」、そして、原則として75歳以上の人が加入する「後期高齢者医療制度」などです。
 

健康保険は、給与や賞与の額に応じて保険料を納付

企業などで就業している人が加入する「健康保険」は、協会けんぽ(全国健康保険協会)、健康保険組合、共済組合、船員組合などに分かれていますが、いずれも、給与や賞与の額に応じて保険料を納付します。たとえ、1級の障害年金を受給していても、保険料は免除されません。
 
ただし、保険料を納付するのは被保険者本人のみで、家族など被扶養者は、保険料を納付する必要はありません。むしろ、被扶養者が障害年金を受給する場合は、被扶養者の年間収入の要件が緩和されます。
 
通常は「130万円未満」が条件ですが、これが「180万円未満」となります(このほか、同居の場合は、原則として収入が被保険者の収入の半分未満であること、などの要件もあります)。被扶養者として健康保険の恩恵が続きやすいわけです。なお、被扶養者から外れた場合は、原則として国民健康保険の被保険者になります。
 

国民健康保険は、所得割、均等割などで保険料が決まる

国民健康保険は、各市町村や国民健康保険組合が運営しています。所得に応じて支払う「所得割」、家族の人数に応じて支払う「均等割」、さらに市町村によっては、世帯ごとに支払う「平等割」(「世帯割」ともいいます)や所有不動産などを対象とする「資産割」などがあり、これらの組み合わせで保険料が決まります。
 

国民健康保険の保険料がゼロになることはない

所得割は所得に応じた額ですので、所得が多くなれば、所得割が増えます。一般に、受給した年金は雑所得とされ、老齢年金は所得割の対象ですが、障害年金は遺族年金とともに所得割の対象になりません。障害年金と遺族年金は非課税なので、そうした取り扱いになっています。このため、障害年金を受給し始めたからといって所得割が増えることはありません。
 
これに対して、均等割や平等割、資産割は、所得額が関係しないので、障害年金受給者も支払わなければなりません。したがって、自治体の条例など別の制度の適用を受けない限り、国民健康保険の保険料がゼロになることはありません。ただし、市町村によっては、障害者のいる世帯に対しては障害者控除などを適用して保険料を抑える減免措置を設けているところもあります。
 

後期高齢者医療制度も所得割と均等割で保険料が決まる

後期高齢者医療制度も、保険料は「所得割」と「均等割」で計算されますが、該当者が1人ずつ単独で加入することになっているため「平等割」はありません。所得割は所得に応じた額ですが、障害年金は非課税なので国民健康保険同様に所得割の対象になりません。遺族年金も同様です。
 

世帯としては減額される可能性がある

「健康保険の保険料も免除される?」の「ウソ・ホント」はウソでしたが、障害年金を受給し始めても、健康保険の被扶養者から外れる場合を除いて、保険料が増額になることはなく、むしろ、世帯としては減額される可能性がある、といえるでしょう。
 
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士