老後に向けて準備をしている中で、高齢者を対象とする制度やサービスが多くあることに気づいた人もいるのではないでしょうか。   自治体や国、社会保険制度には、高齢者向けに設けられたルールやサービスが多数存在します。そこでここでは、老後に活用できる主な制度やサービスをピックアップして、内容を簡単にまとめました。   上手に活用して、セカンドライフを充実させましょう。

雇用関連の制度

定年を迎えて退職したのちに、休養期間を経てから求職したいと考える人は、雇用保険制度の求職者給付の基本手当(失業手当)受給期間を1年間延長し、最長2年まで伸ばせます。退職日の翌日から2ヶ月以内に、ハローワークに受給期間延長申請書を提出しましょう。
 
また、定年を迎えて退職したのちも継続して働く場合や、働きたいと希望する場合には、雇用保険制度の次のような給付を受けられる可能性があります。


・高年齢雇用継続給付
・高年齢求職者給付金

 

高年齢雇用継続給付

雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60〜65歳未満の人を対象に、原則として60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満に低下した場合に支給される給付金です。
 
継続して働く場合に支給される「高年齢雇用継続基本給付金」と、失業手当を受給して、60歳以後に再就職したときに支給される「高年齢再就職給付金」に分かれています。


・支給額:60歳時点の賃金の61%超75%未満に低下⇒低下率に応じて、各月の賃金の15%相当額未満、61%以下に低下⇒各月の賃金の15%相当額(各月の賃金が36万584円を超える場合は支給なし)

・支給期間:60歳に達した月(もしくは雇用保険加入期間が5年になった月)から65歳に達する月まで

 

高年齢求職者給付金

65際以上の雇用保険被保険者が失業した場合、「高年齢求職者給付」を受け取れます。一般の失業手当は、4週に1回失業認定を受け、認定期間の日数分が支給される仕組みです。
 
一方の高年齢求職者給付は、被保険者期間に応じて基本手当日額の30日または50日分が一括で支給されます。
 
・給付額:被保険者期間が1年未満⇒基本手当日額の30日分、1年以上⇒基本手当日額の50日分※基本手当日額は、離職前の6ヶ月間の賃金をもとに計算されます。
 

介護・医療関連の制度・サービス

各地方自治体は、高齢者を対象にした介護や医療に関するさまざまな助成やサービスを行っています。例えば、次のようなものです。


・家具転倒器具の取り付け費用の助成
・防災機器の設置費用助成
・はり・きゅう・マッサージ費用助成
・旅行費用の助成
・配食サービス
・布団乾燥サービス
・訪問美容・理容サービス

お住まいの自治体のサービスを確認して、積極的に利用するとよいでしょう。また、医療保険や介護保険などに関連する次のような制度もあります。
 

高額療養費・高額介護合算療養費

高額療養費とは、長期の入院や治療により医療費の負担が高額となる場合に、自己負担限度額を超えた金額が払い戻される制度です。現役の人の自己負担限度額は最低月額3万5400円ですが、70〜75歳未満では最低8000円(入院時1万5000円)に下がります。
 
また、70歳以上の人は、年間の外来療養費の自己負担額が14万4000円を超えると、超えた金額の支給を受けられます。
 
高額介護合算療養費とは、医療保険と介護保険の年間の自己負担額を合算した金額が基準額を超えた場合に、超えた金額が支給される制度です。この制度により、介護と医療保険制度の両方利用している人の負担も大きく軽減されます。
 

高齢者向け住宅リフォーム助成制度・介護保険住宅改修費

介護保険住宅改修費、高齢者向け住宅リフォーム助成制度(自治体により保障が異なります)はいずれも、介護保険対象者の住まいの改修工事費用を助成する制度です。
 
介護保険住宅改修費は次のような改修費用に適用され、20万円を支給限度基準額として、最大9割(18万円)が支給されます。


・手すり取り付け
・段差解消
・滑り防止
・扉の付け替え
・便器の付け替え
・以上に付帯する工事

高齢者向け住宅リフォーム助成制度では、介護保険住宅改修費で助成されなかった部分を対象に、費用の一部が支給されます。
 

福祉用具購入費

福祉用具購入費は、日常生活の自立の援助や介護者の負担減の目的で特定福祉用具を購入した際に、かかった費用(限度額10万円)の7〜9割が支給される制度です。特定福祉用具とは入浴や排せつに用いる、リースやレンタルには不向きな福祉用具のうち、厚生労働大臣が定めるものをいいます。
 

シーン別に使える制度・サービスを知っておこう

高齢者が利用できるお得な制度やサービスには、条件を満たせば誰でも利用できるものと、自治体などが提供する独自のものがあります。利用したいときにスムーズに利用できるように、シーンごとにどのような制度・サービスが用意されているのかを、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員