ウクライナ侵攻による経済制裁の影響でロシアのドル建て国債についてデフォルト懸念が広がっています。国債を含む全ての債権にはリスクがあり、その見返りとしてのリターンが得られますが、ロシア国債のリスクとはどのようなものでしょうか。   この記事では、外貨建て国債とデフォルトの基本知識を押さえた上で、ドル建て国債がデフォルト認定された場合の一般の人たちへの影響を考えてみます。

ロシアのドル建て国債とは?

国債とは、国の借金のことです。誰かに自分のものを貸すと、返してもらう権利が生まれます。「債」は借金や借財の意味なので、それを「債権(債券)」と呼びます。逆に、借りた方は返す義務が発生するので、それを「債務」と呼ぶのです。
 
債券には日本円(JPY)で元本を払い、利子や償還金を受け取る「円建て債券」と、日本円以外の通貨で運用される「外貨建て債券」があります。ドル建て国債とは、事実上の基軸通貨である米ドル(USD)によって、運用プロセスを進める国債のことです。
 
外貨建て債券自体は、国債のほかに社債や政府保証債などもあり、米ドル以外にも、ユーロ(EUR)、豪ドル(AUD)などがあります。国債の発行主体は国家ですが、自国通貨以外の通貨(外貨)を用いて利払いや償還までのプロセスを進めるものもあります。
 
そのような、ロシアが外貨であるドル建てで発行する国債が「ロシアのドル建て国債」です。
 

ロシア国債のデフォルト認定の可能性

国債のデフォルトとは、国債の償還が不能になったり、利払いが遅延したりする状況のことで、法律用語では債務不履行と表現します。債務不履行にはいくつかの種類があり、最も深刻なものは履行ができなくなる「履行不能」です。
 
この場合は貸したお金や物が戻ってこなくなります。その他に、債務自体は実行されたが完全ではないときの「不完全履行」や、期限を過ぎても履行されない「履行遅延」があります。
 
デフォルトの認定は「格付け会社」と呼ばれる、債券の信用状態に応じて付与される等級を決める組織が発表します。等級とは信用度に応じて数字や記号の組み合わせ(AAAなど)で表現される指標です。
 
2022年2月末にロシアが隣国ウクライナに軍事侵攻を行い、その正当性を巡って欧米各国が非難し、具体的な抗議行動として経済制裁を行っています。
 
ロシアのドル建て国債はドルで支払う必要がありますが、償還および利払い期限を迎えた際に、欧米の銀行がその支払を拒否するという事態が起こりました。経済制裁の一環としての対応だったのですが、ロシア財務省は自国通貨のルーブルで支払い、債務は履行したと主張したのです。
 
しかし、これは外貨建て国債はその外貨で支払うという返済条件の変更に当たります。この行為が格付け会社によってロシアによる条件の一方的な変更であるとみなされれば、債務を履行していない状態、つまりデフォルトと認定される可能性が高くなるわけです。
 

私たちの生活への影響は?

国債に限らず、外貨建て債券は円建てと比べて金利が高いことが多く、投資対象として人気があります。とはいえ、さまざまなリスクがあることも忘れてはいけません。主に、価格変動リスク、信用リスク、為替変動リスク、流動性リスクの4つのリスクがあるのです。
 
今回のように、ロシアのドル建て国債がデフォルトを起こすと、信用リスクが低下します。単純に考えれば、ロシア国債を持っていれば、償還金が受け取れない可能性があるでしょう。
 
しかしながら、例えば日本の金融機関のロシア国債の保有状況に関して見てみると、その規模は小さく、日本の金融システムへの直接的な影響はないと考えられています。
 

直接的な影響はロシア国内に

多くの経済分野の専門家の見解によれば、今回のウクライナ侵攻に対する経済制裁の影響によってロシアのドル建て国債がデフォルトになってしまっても、大きな影響を受けるのはロシア国内の経済と金融システムのようです。
 
ロシア国債を扱う投資家ではない、一般的な人たちの生活には直接の影響はそれほどないと考えてよいでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部