親名義の土地に親子世帯の家を建てる、親と資金を出し合って土地を買い、家を建てる。一言に2世帯住宅といっても、その持ち分の分け方(名義)はさまざまなパターンがあります。
 
共有名義で所有することは容易な一方、分割が難しいのが不動産という財産。
 
分割しにくい財産を、資金を出し合って共同で所有するからこそ、同時に確認しておきたいのが、親にはほかにどのような相続財産があるのかです。
 
流動性に富んでいて分割がしやすい金融資産(現金や証券類)はあるのか、はたまた別の不動産があるのか、それはどれくらいの価値があるのか等々。
 
そして特に注意すべきは、その2世帯住宅にまつわる不動産が親の主な相続財産であるというケースです。例えば、下記のようなケースは、相続問題に発生する要素をはらんでいますので、事前の対策が必要となってきます。
 
<注意が必要なケース例>
・親が所有している土地に2世帯住宅を建てる
・その土地の評価が高い(例:東京23区内にある)
・ほかに財産がない、または価値の低い財産しかない
 

仲の良い家族でも争族になってしまう?

次に確認したいのが、親の法定相続人です。一般的に法定相続人として、まず配偶者、次に子である自分、そして自分の兄弟姉妹が考えられます。
 
そこで、注意が必要となってくるのが、兄弟姉妹の存在です。つまり、「親とは同居していない親の子」です。
 
これらの子どもは、2世帯住宅計画や建設には口を出してこなくても、相続が発生した際の相続財産分割に関しては黙ってはいません。
 
親の遺した財産の内訳が明らかになり、主な財産が当2世帯住宅のみという場合は、相続どころか争族になってしまう可能性があるのです。
 
そんなとき、最もやっかいな存在が、その「親と同居していない子の配偶者」。配偶者の親との同居は嫌だが、もらえるもの(相続財産)がもらえないとなると、口を出して来る場合が多くなります。しかも間接的に。家族仲良かったはずなのに、親の相続がきっかけで争族になってしまうパターンです。
 
また民法では、法定相続人に対して、遺言によっても侵し得ない相続財産に対する取り分を確保しています。
 
この取り分のことを《遺留分》といいます。上記のケースで、「親と同居していない子」がこの《遺留分》を求めてきたら、事はさらにやっかいになってしまいます。最悪なケースでは、2世帯住宅をなんとかしなければならない、住む場所を奪われるなんて事態にもなりかねません。
 

どんなときにも役に立つのは《現金》

2世帯住宅の検討を始めたら、「我が家の相続対策」もセットで話し合うことが欠かせません。
 
親の相続財産の全体像を把握し、法定相続人を整理、どのように分割するのか、そして遺言の準備まで、じっくり親世帯と子世帯とで話し合うことが、結局は自分の身を守ること、そして家族円満につながります。
 
そして、どんな事態にもつぶしが効いて役に立つのは、《現金》です。上記の《遺留分》が問題となってきた場合も、代わりに差し出す《現金》があれば、事なきを得られる可能性があります。
 
現金の準備、つまり計画的な貯蓄です。だからこそ、将来のライフイベントを想定し、イベントに必要な資金額を算出、そして必要な資金の準備計画(ライフプラン)を立てることが重要になってくるのです。
 
備えあれば憂いなし。ライフプランニングが大きな《備え》となります。
 
Text:平田 純子(ひらた じゅんこ)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級建築士、インテリアコーディネーター