以前は「跡を継ぐ」というと「先代からの家を引き継ぎ、お墓を維持管理していく」ことでした。「定年になったら地方にある実家に帰る」という人もいますが、核家族化が進み、実家を継がないケースも増えました。
 
お墓はどうするの? と考えたとき、自宅から遠い場所にお墓だけ残していても、お墓参りに不便ですし、管理も大変です。
 
少し前から身近でも先祖のお墓の引っ越しをした話を聞くことがありましたが、この場合は「一般墓」と呼ばれる、墓石のあるお墓の形はそのままで、場所の引っ越しが一般的でした。
 
最近の「お墓」事情は、これまでとは違っているようです。都心の駅に近い場所に、納骨堂が増えています。納骨堂には、位牌式・ロッカー式・機械搬送式・仏壇式などの種類があります。
 
方式により金額にも10〜1000万円と幅がありますが、100万円程度のところが多いようです。ほかに年間管理費が数千円〜3万円かかります。
 
寺院の墓所と違い、宗派にこだわらないのが一般的で、①お参りに便利、②掃除が不要、③冷暖房が完備されているので天候を気にしなくてよいことが、主な人気の理由だそうです。
 
両親のお墓参りをしたい気持ちはあるけれど、なかなかできていない。このような自分と同じ悩みを、次世代が引き継がないようにしたい。自分が亡くなったら、子どもや孫には頻繁にお参りにきてほしい。こうした気持ちが、都心の納骨堂を選択させているのではないでしょうか。
 

供養の仕方が変わってきている

Nさん(48歳)はスポーツジムに通っています。そこで会員同士のおしゃべりのなかで、最近の関心事は「お墓問題」だそうです。
 
それも「散骨ってどう思う?」といった、納骨堂を検討している世代より、さらに次の選択肢が話題になっているようです。お墓を考えるには早い世代が、こういうところに関心を寄せていることは、興味深いです。
 
散骨するためには、まず粉骨にします。これを山や海、つまり自然に還します。散骨というと海洋散骨のイメージですが、樹木葬も散骨のひとつといえます。
 
海洋散骨の場合は船を借り切って行えば、親族や友人で故人を偲ぶセレモニーにすることもできます。またほかの家族と船に同乗する「合同散骨」や、すべてを業者に委託して行う方法もあります。
 
費用は、船をチャーターする場合は20〜30万円程度、業者に委託する代行散骨で5万円程度が目安です。
 
散骨をすると、あとあとの管理の心配はありません。ただあとになって「やはり形を残したかった」と心変わりしたときに、元に戻せないことは注意しておく必要があります。
 
子どもに面倒を掛けたくないという理由で散骨を希望しても、残された家族は違う意見かもしれません。
 
相手を気遣って良かれと思って選んだ方法が、実は違っていた、ということがたびたびあるようです。どのようなお墓を選ぶ場合でも、家族の気持ちはお互いに確認しておくことが大切だと思います。
 
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士