生命保険会社各社が発表した2021年度決算を確認してみました。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて2年強、どのような変化があったのでしょうか? 今回は新契約の件数に着目し、前年および5年前と比較もしてみました。

個人保険の新契約件数は2020年年度比で11社が減少

最初に、生命保険会社42社において、個人保険の新契約件数を表にしました。表1は2021年度・2020年度・2016年度の新契約件数と、2021年度の2020年度に対する増減割合、2021年度の2016年度に対する増減割合を載せています。
 
2016年度と比べたのは、生命保険会社は新型コロナウイルス感染症の影響だけでなく、金利の低下により貯蓄性商品の魅力が減ったり法人保険において税制の変更があったりして、ここ数年は業績の変動が大きかったため、その前と比べたほうが業績の変化を確認できるのではないかと考えたからです。
 
2021年度は、ソニー生命が4月にソニーライフ・ウィズ生命を吸収合併し、なないろ生命が新たに開業しています。表の件数の単位は、保険会社によって「千件」と「件」に分かれています。 
 

※2016年度以降に名称が変わった生命保険会社

SOMPOひまわり生命(旧 損保ジャパン日本興亜ひまわり生命)
FWD生命(旧 FWD富士生命、AIG富士生命)
大樹生命(旧 三井生命)
ニッセイ・ウェルス生命(旧 マスミューチュアル生命)
イオン・アリアンツ生命(旧 アリアンツ生命)

 
【表1】
 

 
※5年前比は決算資料をもとに筆者が計算
 
2021年度の個人保険で新契約件数が最も多かったのは日本生命です。421.1万件で前年度から10.9%(約41.5万件)増え、2016年度も上回っています。2番目の多かったのは第一生命(384.2万件)で前年度から18.5%も増え、3番目は太陽生命(114.2万件)となっています。
 
第一生命が2016年度比で416.3%増になっているのは、2018年度決算から件数の数え方を変え、複数の保険契約を組み合わせた契約を1件としていたのを、それぞれの保険契約に分けて数えるようにしたからです。他社でも分けて数えている保険会社はあります。
 
2020年度比で28社が新契約件数を増やしていますが、11社は件数を減らしています。2016年度比では、17社が件数を増やし、20社が件数を減らしています。
 
増やしている生命保険会社は新しい保険会社や規模の小さい保険会社が多く、大手の多くはまだまだ回復できていません。かんぽ生命は不適切募集の影響で大きく減らしてきましたが、2020年度で下げ止まったので、今後は大きく回復していきそうです。
 

個人年金保険は多くの保険会社が撤退し寡占化へ

個人保険の次に個人年金保険の新契約件数を表にしてみました。個人保険と同様に、2021年度の件数を前年の2020年度および5年前の2016年度と比較しています。なお、個人年金保険の新契約がない生命保険会社は表に載せていません。
 
【表2】
 

 
※5年前比は決算資料をもとに筆者が計算
 
個人年金保険の新契約件数で最も多かったのも日本生命で、27.9万件になります。2番目がソニー生命(20.8万件)、3番目は第一フロンティア生命(10.1万件)で前年の5番目から上昇しています。
 
ただ、個人年金保険は個人保険と比べると桁が1つ少なく、1万件以上の新契約件数があった保険会社はわずか9社しかありません。10年前の2011年度は21社あったので、10年で12社も減っています。2016年度と比べても増やしているのは3社しかありません。
 
個人年金保険は、新型コロナウイルス感染症の影響よりも運用環境の悪化のほうが大きく影響しています。日本では低金利時代が長く続いており、保険会社の運営コスト等を考えると、月払いや年払いで魅力ある年金商品をつくることが非常に難しくなってしまったため、販売を止める保険会社が増えています。
 
老後へ向けた資産形成は重要であり、個人年金保険は選択肢の1つとして重宝されてきましたが、最近はiDeCoやNISAを活用する人が増えたこともあり、個人年金保険が選択肢から外れてしまったのかもしれません。ただ、保険商品にしかない機能もあり、使い方しだいでは役に立つこともまだまだあります。近い将来、運用環境や保険会社の経営判断に大きなプラスの変化があることを期待しましょう。
 
別稿「生命保険会社の2021年度決算、保有契約件数でみるコロナの影響」では、生命保険会社の業績を保有契約件数で確認します。
 
※保険会社の決算内容は保険会社のホームページに載っています。詳細については各保険会社のホームページで直接確認してください。
 
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者