生命保険会社各社が発表した2021年度決算を確認してみました。生命保険会社は新型コロナウイルス感染症の影響だけでなく他の影響もあり、この数年のあいだは大きく業績が変動しています。   別稿「生命保険会社の2021年度決算、新契約件数はコロナ前後で大きく変化」の生命保険会社各社の新契約件数に続き、本稿では保有契約の件数に着目し、前年および5年前と比較もしてみました。

7社の保有契約件数が前年比マイナス

最初に、生命保険会社42社において、個人保険の保有契約の件数を表にしました。表1は2021年度・2020年度・2016年度の保有契約件数と、2021年度の2020年度に対する増減割合、2021年度の2016年度に対する増減割合を載せています。件数の単位は「千件」と「件」が混在しています。
 
【表1】
 

 
※5年前比は決算資料をもとに筆者が計算
 
2021年度は、ソニー生命が4月にソニーライフ・ウィズ生命を吸収合併し、なないろ生命が新たに開業しています。
 
個人保険で2021年度の保有契約件数が最も多かった保険会社は、新契約件数と同じく日本生命の3048.7万件で、前年から77.3件増やして3000万件の大台を超えました。2016年度からは550.1万件も増やしており、日本生命の1位は当分変わらないでしょう。2番目はアフラックの2335.9万件(前年比1.9%減)、3番目は第一生命の2164.2万件(前年比6.8%増)となっています。
 
1000万件超は明治安田生命までの5社、100万件超はマニュライフ生命までの24社となっています。5年前は1000万超が4社、100万件超が21社なので、新型コロナウイルス感染症の影響を受けても、保有契約件数は積み上がってきています。
 
2020年度比で保有契約件数を増やした保険会社は33社あるのに対し、減らしたのは7社しかありません。新型コロナウイルス感染症の影響で2020年度に落ち込んだ業績がかなり回復してきている保険会社や、コロナでも堅実に増やしている保険会社が結構あります。
 
2016年度比では32社が増やし、7社が減らしています。保有契約件数は前年度の保有契約件数に今年度の新契約件数を足し、満期や解約等の件数を引くので、毎年増やしていく保険会社は多いですが、前年だけでなく5年前と比べても減っている保険会社は、構造的な変化が必要な時期なのかもしれません。
 

個人年金保険の保有契約件数が増加したのはわずか7社

個人保険の次に個人年金保険の保有契約件数も確認してみました。表2は2021年度の個人年金保険の保有契約件数が多い順に並べてあり、件数がないところは数字が入っていません。
 
【表2】
 

 
※5年前比は決算資料をもとに筆者が計算
 
個人年金保険の保有契約件数が最も多かった保険会社は、個人保険と同じ日本生命で423.8万件となっています。2020年度から10.1万件、2016年度から43.3万件増やしています。2番目は住友生命の314.6万件、3番目は明治安田生命の228万件で、ともに前年および5年前に比べて件数を減らしています。
 
2021年度に保有契約件数が100万件を超えているのはわずか4社で、前年から2社(太陽生命とかんぽ生命)減っています。保有契約件数が10万件を超えているのは22社で、1社(オリックス生命)減っています。個人年金保険は保有契約のない保険会社が5社あり、1万件に満たない保険会社も8社あります。
 
2020年度から保有契約件数を増やした保険会社はわずか7社しかなく、2016年度比でも7社しか増えていません。新型コロナウイルス感染症の影響による減少よりも、運用環境の悪化から、多くの保険会社は個人年金保険の販売に消極的になっています。なかにはソニー生命のように大幅に増やしている保険会社もありますが、業界としては今後も縮小し続けそうです。
 
生命保険は個人保険で保有件数を増やし、個人年金保険で保有件数を減らす傾向にあります。生命保険商品の役割が時代とともに変わってきているのかもしれません。保険を見直す際の参考にしてください。別稿では、2021年度の決算から生命保険会社の業績を年換算保険料で確認します。
 
※保険会社の決算内容は保険会社のホームページに載っています。詳細については各保険会社のホームページで直接確認してください。
 
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者