離婚の際に問題となるお金は、慰謝料、養育費、財産分与の3つが大きなものです。
 
慰謝料は不貞やDV、借金など、結婚生活が破たんする原因をつくった側がもう一方に支払うものです。不貞の場合、慰謝料は100〜500万円といわれていますが、家庭状況や婚姻期間、不倫の頻度や相手との関係などによって変わってきます。
 
DVについては50〜300万円が実例としてあがっています。DVには身体的暴力のほかに、暴言や恫喝などの精神的暴力、性暴力、生活費を満足に与えないなど悪意の遺棄も含まれます。
 
これらは証拠が残りにくく、またこうしたことを行える人は平気で「やっていない」と言いがちですから、診断書をとる、メモをとる、録音をとるなど、証拠を残すことが後々有力になります。
 

養育費。家庭裁判所が詳細な算定表を用意

お子さんがいる場合は、養育費の話し合いが重要です。基本は成人する20歳まで、ただ両親とも大学を卒業している場合はその子も大学進学をするだろうと見込み、大学卒業までとされる場合も多くなります。
 
養育費は互いの年収や子供の数により、家庭裁判所が詳細な算定表を用意しています。これは拘束力があるものではないのですが、基準として用いられることが多いのです。
 
なかには子どもに不自由をさせたくないと、十分な養育費を支払い続けてくれる人もいますが、多くの場合、算出される養育費は、それだけで子どもが生活していくには到底不十分な額にしかなりません。
 
そのため、子どもの親権者となり、それまで正業に就いていなかった多くのシングルマザーは、貧困と必死で闘っていかなくてはならないことになります。
 
厚生労働省の調査(平成18年)によると、離婚時に養育費の取り決めをしている人は4割に満たないのです。その理由は「相手に支払いの意思や能力がない」「関わりたくない」といったもの。
 
しかも取り決めをしていても支払わない場合が2割、全体として継続して養育費を受け取っているのは2割を切るという惨憺たる結果です。
 

私立校や大学の学費は「特別費用」として別の取り決めが必要

養育費には、公立の学校に通う費用は含まれて算定されていますが、私立校や大学の学費については、「特別費用」として別の取り決めが必要です。入学金・授業料などを互いの収入に応じて按分とするのも、よくとられる方法です。
 
互いの収入を開示し、その比率に応じて学費を出し合うというわけです。現在は専業主婦で収入はないけれど、離婚を機に働くのであれば、年ごとに按分するという方法もとられます。
 
ただ、お子さんが小さなうちの離婚では、そんな先の議論があまりなされずに、離婚の取り決めが終わってしまうこともしばしばですし、離婚後何年もしてから、あらためて学費の協議をするのは難しい場合もあるでしょう。
 

離婚のときにきちんと話を

将来の学費のことについては離婚のときにきちんと話しておきましょう。離婚していない多くの親にとっても、子どもの高校・大学進学には、いちばんのピンチといえるほどお金がかかるものです。
 
この費用を考慮していないと、大切な時期に、子どもの選択を制限してしまうことになります。奨学金や、大学ごとのさまざまな援助はありますが、それでも経済的に中退を余儀なくされる人が後を絶ちません。
 
別れた相手がきちんとした収入のある人ならなおさら、子どもが望む形で社会へ送り出せるよう、両親が力を合わせるべきです。
 

さっぱりしたい財産分与

財産分与は、子どものあるなし、慰謝料が発生するような落ち度のあるなしに関わらず、離婚に際して多くの場合発生するお金の整理です。
 
婚姻後築き上げた財産は、たとえ一方が専業主婦であったとしても、2人の財産と見なします。双方がもっている貯金などは全部開示し、結婚前からあるものを差し引いて、合計して2つに割ります。
 
不動産、車なども同じです。多くの場合は売却などして2等分しますが、どちらかが所有したい場合は、業者などに査定をしてもらって残ローン分を差し引き、それを2等分して、所有したい方がもう一方に現金で支払います。
 
残ローン分を現金で精算しなくてはならない場合もあり、また、不動産の名義変更にも、その不動産に応じて数十万もの手数料がかかりますので、不動産の取得、とくに夫名義のものを妻が受け取る場合には、多くの現金が必要となることが多いのです。
 
そのため、売却して整理するのがいちばんわかりやすく、負担が少なく、今後の生活の助けとなります。
 
Text:田中 恭子(たなか きょうこ)
フリーランス・エディター&ライター
 
監修:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表