国際情勢の悪化に伴うエネルギー価格の高騰や円安を背景に電気代や飲料・食品などの値上げが行われ、世帯人数が多いほど大きな影響が生じます。   こうした値上がりによる家計への負担を抑えるために給付金などの公的支援の活用が重要度を増しています。今回は教育費の公的支援制度である「高校生等奨学給付金」と「高等学校等就学支援金」について解説していきます。

高校生等奨学給付金とは?

高校生等奨学給付金は、高校などの授業料以外の教育費に関する公的支援制度です。授業料以外の教育費とは教科書などの教材・学用品の費用、通学費、PTAや生徒会などの会費、修学旅行費用や教科外活動費用などの幅広い費用が対象となります。
 

高校生等奨学給付金の給付条件は?

高校生等奨学給付金は低所得世帯の支援制度のため、給付対象となるのは生活保護受給世帯や住民税の所得割が非課税となっている世帯に限られます。
 
住民税には住民全員が一定額を支払う均等割と前年の所得に応じて税負担を行う所得割があります。均等割は前年の総所得金額等が一定額以下の場合に非課税となりますが、その非課税限度額は地域の物価水準などを考慮するため、居住地によって異なります。
 
【住民税所得割の非課税限度額の計算】
 

・1級地(東京23区など)の場合

35万円×(本人+配偶者と被扶養者の人数)+10万円+被扶養者の加算21万円
 

・2級地(首都圏などの政令指定都市など)の場合

31万5000円×(本人+配偶者と被扶養者の人数)+10万円+被扶養者の加算18万9000円
 

・3級地(地方都市など)の場合

28万円×(本人+配偶者と被扶養者の人数)+10万円+被扶養者の加算16万8000円
 
非課税限度減額は、1級地で夫婦と子ども1人の世帯の場合は136万円で、3級地では110万8000円となります。仮に給与収入のみ場合、1級地では年収205万円ほどが限度となるのに対し、3級地では168万円ほどで非課税となります。
 
このように住民税所得割の非課税限度額は世帯構成のほか、居住地の級地区分によっても大きく異なります。また、級地区分は細かく定められているため、田舎だからといって3級地になるわけではありません。
 
厚生労働省の発行する級地区分を確認し、住民税所得割の非課税限度額を計算するなどして高校生等奨学給付金の所得要件に合致するかを把握しておきましょう。
 

高校生等奨学給付金の給付額は?

高校生等奨学給付金の給付額は年度・収入・子どもの人数・在学先の学校の種類によって変動しますが、2022年度の給付額は、生活保護受給世帯で全日制・通信制の国公立高校等に通学している場合は、年額3万2300円(私立では年額5万2600円)となります。
 
住民税所得割の非課税世帯の場合の給付額は細分化されており、国公立の全日制の場合、第一子は年額11万4100円(私立では13万4600円)、第二子は年額14万3700円(私立では年額15万2000円)となります。
 
通信制などの場合は年額5万500円(私立では年額5万2100円)となり、いずれの給付金も返済は不要となっています。申し込みは学校またはお住まいの都道府県が窓口となっており、新入生は4〜6月に一部早期支給の申請が可能となっています。
 

高等学校等就学支援金との違いは?

高校生等奨学給付金は授業料以外の支援を受けることができますが、高等学校就学支援金では授業料の支援を行っています。高校生等奨学給付金は、判定基準を満たす学校に在学し一定の収入要件を満たす場合、最大39万6000円の返済不要の給付金を受け取ることができます。
 
新入生の場合は4月から、在学生の場合は7月までに在学中の学校から案内があります。高等学校等就学支援金と高校生等奨学給付金は同時に支援を受けることができますが、別個に申請が必要となっています。金額が大きいため、申請忘れに注意しましょう。
 

まとめ

2022年は大幅な円安の進行などを背景とし、エネルギーや食品など幅広い分野での値上げが行われています。こうした中、一定の収入要件を満たす場合、高等学校等就学支援金と高校生等奨学給付金によって授業料や教育費の支援を受けることができます。
 
学校を通じて申請でき、金額も大きいため、忘れずに利用するようにしましょう。
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表