家族を扶養に入れると、納める税金(所得税や住民税)を少なくしたり、扶養される家族の健康保険料を節約したりすることができます。   そのため、年金受給中の両親を扶養に入れることを検討する人がいますが、果たしてそれは可能でしょうか。可能な場合は、メリットだけではなく、デメリットもあるでしょうか。この記事ではこれらの問題について解説します。

両親が被扶養者として認定されるための条件

両親を扶養する意思があれば、扶養することができます。ただし、租税と健康保険に関しては以下の要件が満たされないと、両親は扶養される者、つまり、被扶養者として認定されません。
 

・税法上の条件

税法上、両親が被扶養者として認定されるためには、以下のすべての条件を満たすことが必要です。
 

1)両親は納税者(両親を扶養する者)と生計を一にしていること
2)両親の年間の合計所得金額が48万円以下(給与所得のみの場合は年間の給与収入が103万円以下)であること
3)青色事業専従者または白色事業専従者でないこと

 
公的年金は上掲2の収入にあたりますが、控除(公的年金控除)が認められます。
 

・社会保険上の条件

これに対し、両親が健康保険加入者の被扶養者として認定されるためには、以下のすべての条件を満たすことが必要です。
 

1)両親は被保険者(両親を扶養する者)と生計を維持されていること
2)両親は75歳未満であること
3)両親が被保険者と同居している場合は、両親の年間収入が130万円未満であり、かつ被保険者の年間収入の半分未満であること
別居している場合は、両親の年間収入が130万円未満で、かつ被保険者からの援助による収入額より少ないこと
4)両親が日本国内に住んでいること

 
このように75歳以上の親は被扶養者として認定されません。また、公的年金は上掲3の収入にあたりますが、控除額(公的年金控除額)を差し引いた収入額が130万円を超える親は被扶養者になれません。
 

年金受給中の両親を被扶養者するメリットとデメリット

・租税(所得税と住民税)

両親が納税者の被扶養者として認定される場合、納税者は扶養控除が受けられるため、納める所得税と住民税を少なくすることが可能です。例えば、所得税の場合は、両親が70歳以上であれば、課税対象所得から48万円(同居している場合は58万円)の扶養控除が受けられます。
 
その結果、納税者の合計所得金額が500万円、所得税率が20%、納税者と両親が同居しているケースでは、納税者が納める所得税は11万6000円少なくなります。
 

扶養控除が認められない場合500万円 x 0.2 = 100万円
扶養控除が認められる場合(500万円 ー 48万円)x 0.2 = 90.4万円

 
住民税の場合は、両親が70歳以上であれば、課税対象額から38万円(同居している場合は45万円)の扶養控除を受けることが可能です。
 
なお、両親を被扶養者にしてもデメリットは生じません。
 

・健康保険

両親が健康保険加入者の被扶養者として認定される場合、両親は独自に健康保険に加入する必要がありません。そのため、保険料を節約することが可能です。
 
他方、ひと月あたりの医療費が一定の金額を超えたとき、超えた分の払い戻しを受けられる制度(高額療養費制度)がありますが、親を被扶養者にする場合は、人によっては払戻額が少なくなるといったデメリットがあるかもしれません。
 

年金受給中の両親を扶養に入れることが可能かどうかは年金受給額による


 
年金で生活している親を扶養する意思があれば、扶養することは可能ですが、租税や健康保険に関しては特定の要件を満たしていなければなりません。これは親の年金受給額が多いか少ないかに大きく関わっているため、「年金受給中の両親を扶養に入れることは可能?」という問題の答えは年金受給額によるということになります。
 
受給額が少なく、親を被扶養者とすることができれば、節税や健康保険料の節約が可能です。他方、医療費の負担が大きくなるといったデメリットも生じる可能性があるため、注意が必要です。
 

出典

第1段落
日本年金保険機構健康保険組合 被扶養者になれる人の範囲
第2段落
MUFG 年金生活の親を扶養に入れるメリット・デメリットや条件や注意点は?
国立市 公的年金等控除額について

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー