岸田首相から「資産所得倍増プラン」構想が公表され、貯蓄から投資への動きが加速することは、将来のお金の不安を解消する1つの手段としては、間違いではありません。   具体的に、投資における国の優遇政策として代表的なものには、NISAやつみたてNISA、個人型確定拠出年金(iDeCo)や企業型確定拠出年金が挙げられます。   そこで、今回はこの中でも特によく質問のある「個人型確定拠出年金(iDeCo)」と「つみたてNISA」について、共通点と違いについて簡単にまとめ、どちらの制度を利用したら良いのかを解説します。

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは?

まずは「iDeCo(※1)」について、簡単に見ていきます。
 
●対象者:原則国民年金加入者(任意加入者も含む・例外あり)
 
●掛け金限度額:原則月額1.2万円から6.8万円(働き方により異なる・年払も選択可能)
 
●掛け金:月々5000円から千円単位で自由に設定
 
●税制優遇あり(掛け金拠出時・運用時・受取時)
 
●運用商品は自分で決める
 
●手数料が発生する
 
●受取年齢は原則60歳以上で、加入期間に応じて決まっている
 
●受け取り方は自由に決められる

(1、一時金として一括 2、年金(分割) 3、一時金と年金の組み合わせ)
 

つみたてNISAとは

次に「つみたてNISA(※2)」について、簡単に見ていきましょう。
 
●対象者:20歳以上(口座開設年の1月1日現在)で日本に住んでいる人
ただし、2023年1月1日以降は18歳以上が対象となります。
(つみたてNISAと一般NISA(※3)はどちらか一方のみで併用できない)
 
●掛け金限度額:年額40万円(原則20年間で最大800万円、年額40万円に満たなかった場合は繰越不可)
 
●税制優遇あり(運用時・受取時)
 
●運用商品は自分で決める
 
●手数料が発生する
 
●受取年齢はいつでも可能

 

共通点は?

簡単に見てきましたが、改めて2つの共通点をまとめておきます。
 
●税制優遇がある
税制優遇で共通なのは、運用益に対して非課税(税金がかからない)というところです。通常であれば、運用益に対して約20%の税金が発生します。受取時に関しては、どちらも原則非課税ですが、「iDeCo」については、受け取るときの他の所得との兼ね合いにより、全く税金がかからないとは言い切れないので注意が必要です。
 
●運用商品は自分で決める
 
●手数料がかかる
運用商品を自分で決めるというのは、投資であれば当たり前です。もちろん、運用商品を金融機関等が勧めることはあるけれど、最後に決めるのはあなた自身です。また、その商品により手数料の金額も異なります。商品を決めるにあたっては、この手数料なども踏まえたうえで、決める必要があります。
 

違いは?

次に、この2つの制度の違いについてまとめておきます。
 
●対象者
ほとんど同じであるという認識で問題はないので、「iDeCo」と「つみたてNISA」の制度をどちらも併用して利用することは可能ですが、「一般NISA」の制度を使用している人は、「つみたてNISA」の制度を利用できないので、注意が必要です。
 
●税制優遇がある
これについては、共通点もあるけれど、違いもあります。違いは掛け金拠出時です。掛け金拠出時の支払った金額については、「iDeCo」は所得から控除できるけれど、「つみたてNISA」は控除できません。
 
●受取年齢
これは大きく異なります。「iDeCo」は原則60歳まで引き出すことができず、加入期間により受取年齢も決められています。一方「つみたてNISA」は、いつでも解約は可能で自由に引き出せ、自由に受け取れます。「iDeCo」は老後資金を貯めることが大きな目的なので、このような仕組みになっているため、目的によって制度を使い分けることをお勧めします。
 

「iDeCo」と「つみたてNISA」のどちらの制度を利用したら良いのか?

投資をしたほうが良いと考えて制度のことを少し理解したとは言え、自分にとってどちらの制度を利用したらよいのか分からないという人は多いでしょう。
 
ポイントは目的です。物価高や円安の影響などで将来のお金のことが不安だ、という人には、「つみたてNISA」をお勧めします。金融機関によって異なりますが、掛け金がワンコインから始められたりポイントのみで始められたりと、「投資だ」と過剰に意識することなく始められます。
 
しかし、そうは言っても「つみたてNISA」は投資です。そのため、あなたが投資した金額が日々増減します。1万円を投資して現在価値が8000円のときもあるし、1.5万円のときもあります。投資が初めての人にとっては、この投資金額の変動に一喜一憂することなく、長期で投資を続けられるかを試すことができるので、お勧めです。
 
一方、老後資金を貯めるという目的があり、ライフプランもある程度固まっている人にとって、「iDeCo」は3つの税制優遇を受けられることは強みであり、60歳まで引き出せないというのも魅力の1つです。
 
このように、あなたの目的に合わせて、2つの制度を使い分け、または2つの制度を併用して将来のお金の不安を少しずつ解消していくというのはいかがでしょうか。
 

出典

(※1)iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の仕組み」
(※2)金融庁「つみたてNISAの概要」
(※3)金融庁「一般NISAの概要」
 
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士