車を保有する人の75%が加入しているのが、任意加入の自動車保険(以下、自動車保険)。対人・対物といった相手方への補償に加え、自身の補償でもある人身傷害や車両保険などを契約できるのが、自動車保険の特徴です。   一部を自己負担する免責金額を設定することで、保険料を抑えることができます。   本記事では、免責金額の設定後に事故が起きた際、どれくらい負担が発生するのか、実際のシミュレーションを交えて解説します。

そもそも免責金額って何?

まずは車両保険の免責金額について簡単に確認しましょう。
 
免責金額とは、保険会社が保険金を支払う際、損害額に対する補償のうち、補償を受けられる方(契約者)が自己負担する金額のことを指します。
 
例として、事故で30万円の修理費用がかかったケースを考えてみましょう。車両保険で5万円の免責金額を設定していた場合には、5万円は契約者が自己負担し、残りの25万円が保険金として支払われることになります(実際の負担額は契約内容などにより異なります)。
 
免責金額を設定することで、継続的に支払う保険料を抑えられますが、事故が発生した際には自己負担額が発生してしまうということになります。
 

免責金額の設定有無で保険料をシミュレーションしてみよう

免責金額を設定したことで保険料がどれくらい変わり、保険を使うことで翌年の保険料がどれくらい増えてしまうのか、シミュレーションしてみましょう。
 
ここでは、割引前の保険料が20万円の車で、15等級(割引率52%)の保険に加入しているケースを取り上げます。
 

免責なしのケース

まずは免責金額を設定していない場合の自動車保険料の年額は、9万6000円です。
 
もしも事故で保険を使った場合、翌年の等級は事故ありの12等級(割引率)27%となり、保険料は14万6000円となります(実際の負担額は契約内容などにより異なります)。
 

免責ありのケース

次に、免責金額を設定するケースです。車によって車両保険の金額が変わるため、ここでは例として車両保険の免責金額を5万円に設定すると、免責金額を設定する前の保険料から10%安くなると仮定してシミュレーションしてみます。
 
この場合、15等級のときの年間の保険料は8万6400円となります。事故で保険を使った場合、車両保険の免責金額5万円を負担し、翌年の保険料は13万1400円に上がります(実際の負担額は契約内容などにより異なります)。
 

免責を設定すると保険料は安くなるけれど……

シミュレーション結果を比べてみると分かるとおり、免責金額を設定すれば支払う保険料は安くなりますが、事故が発生したときには免責金額を負担することになるため、自己負担額が増えてしまう可能性があります。
 
事故のリスクと保険金額をてんびんにかけ、保険の契約方法を慎重に検討する必要があります。
 

それでも保険料を抑えたい場合はどうする?

とはいえ、自動車保険の保険料は掛け捨てなので、できる限り安くしたいものですよね。
 
保険料を安く抑える方法として、1年間で1回目の事故では自己負担ゼロ、2回目以降は10万円の自己負担が発生するという具合に、段階的に免責金額を設定するという方法があります。
 
安全運転を心がけていれば、1年間で2回以上事故が起こる可能性はそれほど高くないはずなので、選択肢として検討してみるのもよいでしょう。
 

免責金額を見つめなおして自動車保険を見直そう

本記事では、免責金額を設定する場合と設定しない場合とで、負担する金額がどのように変化するか、シミュレーションを交えて解説してきました。
 
事故が発生するかを正確に知る方法は存在しないので、免責金額を設定すべきかどうかについて、絶対的な正解はありません。
 
安全運転を心がけて事故のリスクを抑えることを前提に、万が一の事故の際に、補償を受けるためのコストはどの程度が適切なのかをしっかり考えたうえで、自動車保険の契約内容を賢く選択するよう心がけましょう。
 

出典

一般社団法人日本損害保険協会 自動車保険 都道府県別加入率
損害保険料率算出機構 【自動車保険】参考純率改定(ノンフリート等級別料率制度改定)のご案内
 
執筆者:宇野源一
AFP