勤務先によっては、残業代の支払いについて十分に対応されていないというケースもあるのではないでしょうか。   賃金の未払いには時効があるので、そのまま放置しておくのは危険です。時効が成立してしまうと、その後は支払ってもらうことができなくなります。   今回は「未払い残業代」などの時効や遅延に対する損害金、一般的な請求方法などについて解説していきます。

未払い残業代の時効は2年から3年に変更

そもそも、未払い残業代の時効はこれまで2年でした。これは労働基準法で定められていたもので、賃金が支払われるべきであった給料日の翌日から起算して計算されます。
 
ところが、民法で定められている一般的な債権の時効期間は10年です。民法と比較して労働基準法の時効は短く、労働者側からは時効期間を5年に延長するよう求められていました。
 
しかし、企業側の反発を受けたことで、経過期間としてひとまず時効を3年に延ばすという措置が取られることになりました。ただし、時効が3年で適用されるのは2020年4月1日以降の未払い残業代です。2020年4月1日以前の未払い残業代については対象になりません。
 
なお、未払い金には、残業代の他に「定期賃金」「退職金」「一時金(賞与・ボーナス)」「休業手当」「割増賃金」「年次有給休暇の賃金」などが含まれます。
 

未払い残業代の遅延損害金も請求できる

未払い残業代があるときは、遅延に対する損害金も請求することができます。遅延損害金を請求できるのは退職した後も支払われなかった場合で、年14.6%を利息として上乗せすることが可能です。例えば、未払い残業代が15万円あった場合、1年間の利息は「15万円×14.6%」で2万1900円になります。
 
なお、先ほど説明した他の賃金に対しても、退職金以外の未払い分にはこの利率が適用できます。退職後に賃金の未払いが発生しているときは、遅延損害金も合わせて請求しましょう。
 

未払い残業代を請求する際の一般的な方法

残業代をはじめ、未払い賃金があるときは、まず管轄の労働基準監督署に相談するのが一般的な方法です。労働基準監督署を通すことで会社に対して注意や行政指導が入るため、それで解決することもあります。まだ会社に在籍している場合はもちろん、退職しているときも労働基準監督署に相談してみることです。
 
すでに退職していて、労働基準監督署を通してもなかなか支払いに応じてもらえないときは「内容証明郵便」で請求するという方法を取ります。それでも応じてもらえないときは、簡易裁判所で「少額訴訟」を起こすのもいいでしょう。
 
「少額訴訟」は、60万円以下の金銭を請求したいときに利用できるもので、1日で審理されるのが特徴です。60万円を超える未払いがあるなど悪質なときは、弁護士に介入してもらうほうがいいかもしれません。
 

未払い残業代は早めに請求しましょう

未払い残業代には時効があります。どう請求していいか迷っているうちに時効が過ぎてしまうことがないよう注意が必要です。就業規則に明記されている賃金で未払いになっているときは、証拠をそろえてまず労働基準監督署に相談してみましょう。
 
請求する際は、遅延損害金も忘れてはいけません。労働基準監督署、内容証明郵便、訴訟や弁護士への相談と、未払い金の額や会社の対応に合わせた方法で解決することが好ましいといえます。
 

出典

東京労働局 未払賃金とは
裁判所 少額訴訟
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部