給与に固定残業代が含まれている場合、毎月必ず残業を行わなければならないのでしょうか。そもそも固定残業代とは何なのか、求人票などでの記載を目にして疑問に感じたことがある方もいるかと思います。そこで今回は、固定残業代について解説していきます。

固定残業代とは


 
固定残業代とは毎月の残業時間にかかわらず、一定時間の残業を行ったものと見なして、支払われる給与にあらかじめ含まれる残業代のことをいいます。会社によっては「みなし残業代」と呼ばれることもあります。
 
例えば、固定残業代が30時間分と設定されているのであれば、実際の残業時間が25時間だったとしても、固定の残業代が支払われるという制度です。
 
ただし、固定残業代は会社が従業員を定額で働かせ放題にできるものではありません。固定残業代を上回る残業が生じた場合、会社は超過分の残業代を別途支払う義務があります。
 
例えば、30時間分の固定残業代が設定されているケースで40時間の残業があった場合、従業員は超過する10時間分の残業代について、固定残業代を含む給与とは別に会社から受け取れることになります。
 

固定残業代が給与に含まれている場合、その時間分の残業は必須なのか

固定残業代が給与に含まれているからといって、その時間分の残業を必ず行わなければならないわけではありません。効率よく業務をこなして定時で終業し、固定残業代を受け取るというのも違法ではないのです。
 

会社が固定残業を導入する理由は?

固定残業を導入する理由は会社によっても異なりますが、大きく分けて2つあると考えられます。
 
1つは、毎月一定時間までは残業代を固定することで、給与計算を簡略化するためです。もう1つは、従業員にとっては仕事が早く終われば同じ賃金でも労働時間が少なくなるため、無駄な残業を減らし、業務の効率化や生産性の向上を見込めることです。
 

働く側から見た固定残業代のメリットとデメリット

固定残業を導入している会社で働くことのメリットとしては、固定された給与により収入が安定することと、働き方によっては少ない残業時間でも高い給与を得られる可能性がある点です。
 
通常であれば残業時間によって給与の総支給額が増減しますが、固定残業代が含まれていれば残業時間が少ない場合や、効率よく働いて残業が発生しない場合でも一定の残業代を受け取ることができます。
 
一方、デメリットとしては多くの場合、残業代ありきの給与形態となっているため、基本給が低いほか、基本給を基準とする賞与の金額も低くなりやすく、年収はさほど高くないことがあり得るという点が挙げられます。
 
給与に固定残業代が含まれている会社で働こうと考えている場合は、そのメリットだけではなく、注意しておく点があることも知っておいてください。
 

固定残業だからといって残業をする必要があるわけではない

固定残業代は残業の有無や時間に関係なく、毎月の給与に含めて定額で支給される手当です。会社によって業務の効率化や給与計算の簡略化を理由に導入されているケースがありますが、給与に固定残業代が含まれているからといって、一定時間分の残業を行う必要があるわけではありません。
 
ただし、固定残業代の取り扱いは疑問が生じやすいこともあるため、不明な点があれば会社に確認したり、社労士や労働基準監督署といった専門機関などへ相談したりしてみてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士