2019年に話題となった老後2000万円問題をきっかけに、老後のことを不安に感じ、NISAやiDeCoを始めたという人も多いのではないかと思います。   また、50歳になると老後といわれる年齢が近づいていることで、老後資金の準備を自分事として真剣に考える人も増えるのではないでしょうか。

iDeCoやつみたてNISAを活用した老後資金作り

iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)は、貯蓄から投資へという政府のスローガンの下、個人の資産形成において税制の優遇を受けられる制度です。
 
iDeCoは2001年に始まりましたが、2017年から専業主婦(夫)や公務員も加入できるよう制度が拡充され、2022年10月からは会社員で加入対象となる方の範囲が広がっています。
 
一方、NISAは2014年にスタートした制度で、2016年にジュニアNISA、2018年からつみたてNISAが始まっています。NISAでは、年間一定の投資枠の範囲で運用益が非課税となり、口座数も年々増えています。
 
iDeCoやつみたてNISAは、投資できる商品が金融機関ごとにあらかじめ決められています。例えば、つみたてNISAの対象商品は大半がインデックスファンドといわれる、特定の株価指数などの指標に連動する商品となっています。
 
ただし、どちらの制度も掛け金には上限が設定されているので、上限額以上の投資では制度を利用できない、または税制優遇のメリットを活用できないことになります。
 
例えば企業年金がない会社員の場合、iDeCoでは月額2万3000円が掛け金の上限となっています。
また、つみたてNISAは年間で40万円が非課税投資枠の上限となっているため、掛け金は月額3万3333円までとなり、2つの制度を併用した場合、毎月積み立てできるのは5万6333円です。
 
それでは、会社員の方が50歳からiDeCoとつみたてNISAを併用し、老後資金として2000万円を貯めることはできるのでしょうか。
 

限られた時間と掛け金で老後資金2000万円は達成できるか

50歳からiDeCoとつみたてNISAを併用して、現在の退職年齢として多く採用され、今後も増えると思われる65歳までの15年間で毎月5万6333円の掛け金を拠出した場合、積立総額は1013万9940円と、目標の2000万円の半分程度を積み立てることができます。
 
この際、全期間にわたって年5%の利回りで運用できたとしても、65歳時点では1505万7188円で、2000万円には500万円程度不足することになります。
仮に利回り7%で運用できた場合でも、1785万5437円と約220万円の不足となりますが、ある程度の資産を作れるということが分かります。
 
2000万円の資産形成を目標とする場合、年8.3%の利回りが必要で、この利回りを実現させるには相当なハイリスク・ハイリターンの運用を続けることになり、現実的に不可能だと考えられます。
 

現在、検討されているNISAの制度拡充に期待

岸田政権が打ち出している資産所得倍増プランの1つとして、現行のNISA制度の拡充が検討されています。
 
現行の一般NISAは非課税期間が5年となっていますが、その期間を撤廃して制度を恒久化し、年間の非課税投資枠を120万円から2倍の240万円に拡大させるという要望が金融庁から上がっています。
また、つみたてNISAも年間非課税投資枠について、現行の40万円から60万円に引き上げる提言案があります。
 
この要望が通った場合、50歳の会社員(企業年金なし)がiDeCoとつみたてNISAを併用して非課税で投資できる上限は月額7万3000円となり、仮に65歳まで年5%の利回りで運用できたケースでは、1951万2093円と目標の2000万円に近づけることができます。
また、6%の運用利回りが達成できれば、2122万9766円と目標をクリアすることが可能です。
 
一般NISAが恒久化されて、さらに現状の年間非課税投資枠以上の積立投資もできるようになれば、年5%以下の運用利回りであっても目標に達する可能性があります。
 
なお、現行のNISA制度では一般NISAとつみたてNISAは選択制となっていますが、制度拡充の要望では併用を可能にするという案も出されています。
 

まとめ

50歳という年齢は、人によってはすでに子どもが独立しているという場合もあるでしょう。
老後資金の準備として、より多くのお金を資産運用に使うことができるケースであれば、今回説明した例のように、iDeCoやつみたてNISAの掛け金について上限まで活用した積み立てができることも考えられます。
 
また今後のNISA制度の拡充によっては、投資額をさらに増やすことも可能になるかもしれません。
 
ただし、老後に向けた準備については30代など、できるだけ早いうちからライフプランを考え、時間をかけて行うことも大切だと筆者は考えています。
 
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー