「固定残業代制度」や「みなし残業」について、聞いたことがあったり、実際にその会社で働いていたりするものの、実は中身についてよく知らないという方も多いのではないでしょうか?   本記事では固定残業代制度の内容やメリット・デメリット、固定残業代制度の会社で働いている人がもらっている残業代が適正かどうか計算する方法について解説しています。

固定残業代制度とは?

固定残業代制度とは、一定時間分の時間外労働分があらかじめ固定給に含まれている制度のことで、一般的には「みなし残業」と呼ばれています。固定残業代制度では、例えば10時間分の残業代があらかじめ定額で支払うと設定されている場合、実際に10時間残業をしなくても、「残業(時間外労働)をした」とみなして定額の10時間分が支払われます。
 

固定残業代制度の考え方

固定残業代制度は定額の残業代が設定されていますが、「どれだけ働いても残業代が一定」というわけではありません。
 
例えば、時給換算して2200円の労働者が毎月4万4000円の残業手当を固定残業代としてもらっているとすると、20時間分が残業時間として見込まれていることとなります。この場合、もしも25時間残業したとすると、25−20=5時間分、つまり差額分1万1000円の残業代は固定残業代とは別に支払われることになります。
 

固定残業代制度のメリット

固定残業代制度のメリットとしては、第一に残業が少なくても一定額が支払われる点が挙げられます。また、もらえる給料が決まっているため、従業員が効率よく働こうと考えることにつながります。仕事が速い人からすると、残業をそんなにしなくても基本給以上に給与が支給される点は、モチベーションアップになるでしょう。
 

固定残業代制度のデメリット

固定残業代のデメリットとして、「固定」という言葉から、どれだけ働いても同じ金額しか支払われないという、間違ったイメージを持たれることがある点が挙げられます。また、残業代があらかじめ給与に反映されているため、社風として早く退社しづらい場合もあるようです。
 
特に“ブラック企業”では、固定残業代制度の名の下に、いくら残業してもプラスアルファの残業代が支払われない場合もあります。
 

残業代が適正かどうかの計算方法

固定残業代制度の会社に所属している場合、残業代が適正かどうか気になるものです。ここでは、固定残業代制度で支給される残業代が適正かどうかを計算する方法についてみていきます。基本的には、残業代の1時間当たりの金額は、月給から諸手当を控除した基本給の時給に1.25倍を掛けた金額となり、計算式は次のとおりです。

基本給=月給−固定残業代−その他手当
本来の残業代=基本給÷(月の労働日数×8時間)×1.25×残業時間

この式に当てはめた上で、もしも本来の残業代が固定残業代よりも多い場合は、その分は本来受け取るべき残業代が受け取れていないということになります(賃金不払残業、いわゆる“サービス残業”の状態です)。ただし、実際の給与計算はもっと複雑な場合もあります。計算して不明点がある場合、一度人事部門に問い合わせをしてみてもよいでしょう。
 

固定残業代制度を正しく理解し、納得して働こう

固定残業代制度にブラックなイメージを持っている方もいるかもしれませんが、制度自体が違法というわけではありません。固定残業代分を超えた際に差額の賃金を支払っていれば問題ありません。
 
とはいえ、不明点があれば明らかにすることで、気持ちもすっきりと働くことができます。知識を身につけ、それでもおかしいと思うことがあれば、まずは社内の人事部門に確認するなどしましょう。
 

出典

厚生労働省東京労働局 労基法 しっかりマスター 割増賃金編
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部