仕事を失い収入が途絶えると、生活は苦しくなります。そのような場合に備え、労働者は雇用保険に加入し保険料を納めています。   2022年10月、この保険料は引き上げられることになりました。それによって働く人の負担は、どの程度増えたのでしょうか?   この記事では、雇用保険料の引き上げの内容と労働者に対する影響について解説します。

雇用保険と保険料の引き上げ

将来、失業や、育児や介護などで仕事ができなくなるときに備え、労働者は雇用保険に加入しています。
 
これは国が設けた公的保険で、31日以上働く見込みがあり、かつ、1週間あたり20時間以上働いている人は、加入が法律で義務づけられています。
 
この要件を満たすならば、アルバイトをしている人も雇用保険に加入しなければなりませんが、学生にはこのような義務はありません。
 
雇用保険に加入すると、失業手当や育児・介護手当がもらえるようになりますが、その代わり保険料を納めなければなりません。なお、保険料は給与やボーナスから天引きされるため、働く人が直接、支払う必要はありません。
 
保険料の額は、労働者に支給される賃金総額に基づき決まります。近年は安くなる傾向にありましたが、2022年10月には、賃金総額の0.3%から0.5%に引き上げられました。
 
なお、離職者が多い農林水産、清酒製造、建設の事業分野では保険料が若干高くなっていますが、同様に0.2ポイント、つまり賃金総額の0.4%から0.6%に上がりました。
 
保険料の引き上げが必要になったのは、コロナ禍で雇用環境が悪化し、企業に支給する雇用調整助成金が増大したためです。
 
つまり、コロナ対策でひっ迫した財政を立て直すため、国は保険料の引き上げを決めました。なお、雇用保険には労働者だけではなく、労働者を雇う事業主も加入しており、事業主が負担する保険料も同様に引き上げられています。
 

保険料の引き上げの影響

ところで、保険料算出のベースとなる「賃金総額」には、基本給だけではなく、職務手当、残業手当、住宅手当、扶養手当といった諸手当や交通費などが含まれます。
 
特に「交通費込みの給与」である点に注意してください。そのため、保険料引き上げの影響は人によって大きく異なり、単純に「月給」や「給料」を基に分析することはできません。
 
逆に、支払っていた保険料を基にすれば、簡単に分かるようになります。
 
例えば、2022年9月までの保険料が月900円であった人の賃金総額は月30万円で、10月以降の保険料は月1500円です。増えたのは月600円と少額ですが、年間では大きくなります。
 
ただし、この値上げは2023年3月まで、つまり半年間に限定された措置で、2023年4月以降の保険料はまだ決まっていません。
 

物価の上昇に比べると影響は小さい

雇用保険料の引き上げは、一般の事業であれば賃金総額の0.3%から0.5%へ、また、それ以外の事業であれば0.4%から0.6%へと微増にとどまっています。
 
円安に基づく物価高に比べると、その影響は限定的です。そのため、雇用保険料の値上げよりも食料費や光熱費の上昇の方に気を配る必要があるでしょう。
 

出典

厚生労働省 雇用保険制度

厚生労働省 令和4年度雇用保険料率のご案内

厚生労働省 雇用保険率に関する参考資料

厚生労働省 雇用保険料の対象となる賃金

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部