再就職の場合でも厚生年金に加入できる
定年後に再就職した場合でも、厚生年金保険の適用事業所であれば70歳まで加入でき、保険料は標準報酬月額を参考にして決定されます。
再就職であっても厚生年金保険料は事業主と折半で負担することになり、加入手続きに関しても、再就職後に事業主が行わなければいけません。また、厚生年金保険料納付も従来どおり事業主が給料から天引きして行うため、自分自身で特別な手続きは不要です。
厚生年金に加入するための具体的な手続きについては、事業主側から指示がありますが、基礎年金番号通知書や年金手帳などを事業主に提出することが求められます。
定年退職前と定年退職後の再雇用先が同じであるなら、再雇用された月から再雇用後の給与などに合わせて見直されるのが特徴です。
厚生年金受給額は加入年月や厚生年金保険料に比例する
国民年金受給額は満額まで支払っていれば受給額は一律ですが、厚生年金受給額は報酬比例部分が設定されています。
報酬比例部分では、平均標準報酬額と厚生年金に加入した期間が計算に用いられるため、加入期間が長くなれば厚生年金受給額も多くなるかもしれません。
注意点としては、厚生年金の適用事務所に再就職したケースなら、厚生年金には原則として加入しなければならない点です。具体的な加入期間や厚生年金受給額について知りたい場合は、自分自身が住んでいる地域の年金事務所・市町村窓口に問い合わせください。
再就職で働いているなら年金受給のタイミングに注意する
再就職で働いているなら、年金受給のタイミングに注意しなければ、受給できる老齢厚生年金が少なくなります。
老齢厚生年金は60歳以上から受給ができるため、再就職などによって働いている60歳以上の方でも受給が可能です。「総報酬月額」と「老齢厚生年金」の基本月額を合計した金額が47万円を超えるなら、47万円を超えた部分は老齢厚生年金の2分の1が支給停止されます。
支給停止額の計算式としては(総報酬月額相当額+基本月額−47万円)×1/2であり、合計した金額が多くなればなるほど、支給停止額も多くなるでしょう。
毎月の収入金額が合計して47万円を超えるなら、年金を繰下げ受給することも視野に入れてください。
再就職による給料だけで十分に生活ができるのであれば、繰下げ受給によって将来的にもらえる年金額を多くする方法がおすすめです。
ただし、合計金額が47万円を超えないなら働きながら老齢厚生年金を受給しても、受給停止対象にはなりません。状況に合わせて、通常どおりの受給をするか、繰下げ受給をするかなどを選択してください。
まとめ
定年後に再就職した場合でも厚生年金には加入できますが、事業者が各種手続きは行うことから基本的には自分自身で行う手続きはありません。また、厚生年金保険料や厚生年金保険料納付方法なども定年前を大きく変えることはないため、再就職をしても大きな変化は感じない可能性も高いでしょう。
注意点として、再就職で働きながら老齢厚生年金を受給するなら、合計した金額が47万円を超えないようにしましょう。老後の安定した生活のためにもしっかりと内容を理解して、自分たちにとってメリットのある方法を選ぶことが大切です。
出典
日本年金機構 退職後の年金手続きガイド
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部