定年退職を機に、これまでの貯蓄や退職金などを使って利便性のよい場所にあるマンションに移住し、自宅のマンションは賃貸用にしたいとのご相談です。FPが注意すべきことをアドバイスします。

マンションの購入の注意点

首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)のマンション一戸平均価格は、新築、中古ともに年々上昇しており、2021年の新築マンションの平均価格は6360万円でした(東京23区の平均価格は、8449万円)。
 

 
(株式会社不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2021年度(2021年4月〜2022年3月)」を参考に筆者作成)
 
一方、2022年の中古マンションの平均価格は、4276万円となりました(東京23区の平均価格は、5776万円)。
 

 
(公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」を参考に筆者作成)
 
このように、マンションの価格が高騰しており、さらに住宅を購入する際には、物件価格にプラス諸経費(物件価格の3〜10%程度)がかかりますので、資金が準備できるのか十分に考えましょう。
 
貯蓄や退職金で足りない分は、住宅ローンで賄うことも考えられますが、金融機関は、融資の審査をするときに安定した収入があるかどうかを見ます。この安定した収入というのは、基本的には給料収入があることを指しますので、勤務をしていないと審査に落ちる可能性が高くなります。
 
また、住宅ローンが組める年齢は70歳未満としている金融機関が多い(インターネットバンキングは65歳未満)ので、定年退職をしている場合でマンションの購入資金の不足分を住宅ローンで補いたいと思っている人は、まずは金融機関で融資相談をしましょう。
 

自宅のマンションを賃貸に出すときの注意点

自宅のマンションを賃貸に出すとどのくらいの家賃が入ってくるか気になるところです。賃料一括査定サイトがありますので、こちらに条件を入れて家賃の査定をするとよいでしょう。不動産会社が連絡をしてくる場合は、実際に何社かと会ってみて、相場感をつかみましょう。
 
マンションを賃貸に出す場合のリスクとしては、空室リスクや、入居者が隣人とトラブルを起こしたり、家賃を滞納したりするリスクがあります。これらのリスクを避けるためには費用はかかりますが、不動産会社と契約をするのがよいでしょう。
 
不動産会社は、家主に代わって賃貸物件の募集をしたり、入居希望者の案内をしたり、入居者との間に立ってトラブルを解決してくれたりします。自宅を貸す場合に発生する費用として、トイレやお風呂が壊れたときの修理代や、入居者が更新をせず、出て行った後の原状回復費用などがあります。
 
また、老朽化が目立つようになったらリフォームも必要になります。そのため、古いマンションを貸し出す場合は、家賃収入があまり入ってこないのに修繕費やリフォーム費用ばかりかかってしまうということがあり得ます。
 

確定申告

年金受給者は、公的年金等(※1)による収入金額の合計額が400万円以下であり、公的年金等に係る雑所得以外の所得(※2)金額が20万円を超えなければ、確定申告を行う必要はありません(※3)。
 
しかし、不動産所得が年間20万円以上になる場合は、確定申告が必要です。不動産所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額をいいます。必要経費として認められる支出には、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などがあります。
 
不動産所得の確定申告は、1月から12月分を翌年の2月16日〜3月15日までに住所地の管轄の税務署に申請する必要があります。税理士に依頼をする場合は、費用がかかりますが、必要経費として計上ができます。
 

まとめ

住宅を購入するときは、住宅資金のほかに諸経費がかかります。貯蓄や退職金をすべてそれに充ててしまうと、生活費や病気・けがをしたときの緊急資金がなくなってしまうので、住宅を購入する前にいくらくらい余裕資金として残るのかをしっかり計算しましょう。
 
また、自宅のマンションの管理を任せる不動産会社は、比較するために数社と会って、どんどん質問をして、会社の規模ではなく担当者レベルで信頼できそうだと思うところを選びましょう。
 
(※1)
公的年金等とは、国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢共済年金)、恩給や過去の勤務などに基づき使用者から支給される年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金など
 
(※2)
生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金など
 

出典

株式会社不動産経済研究所 首都圏 新築分譲マンション市場動向 2021年度(2021年4月〜2022年3月

公益財団法人東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2022年)

(※3)政府広報オンライン ご存じですか? 年金受給者の確定申告不要制度

 
執筆者:篠原まなみ
AFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者