住民税は、所得税と同じように収入から各種控除を差し引いた後で一定の税率をかけて計算される所得割と、一定の税額を負担する均等割を合計したものですが、課税対象となる前年の収入によっては非課税になります。   本記事では、住民税が非課税となるケースについて確認したいと思います。

住民税の税額の計算

住民税は、前年の収入から各種控除を差し引いた課税所得額に対して税率10%をかけた所得割と、所得に関係なく負担する均等割の2つを合わせたものです。
 
所得割は、都道府県民税と市町村民税を合わせて10%となっていますが、その内訳は各都道府県と市町村によって、都道府県民税が2%や4%、市町村民税が8%や6%など住んでいる地域で違いがあります。
 
均等割は所得金額に関係なく、都道府県民税が1500円、市区町村民税が3500円で合計5000円となります。
 
さらに税額を計算する際には、調整控除という控除を行います。この控除は、所得税の基礎控除や各種扶養控除を指す人的控除額と、住民税の人的控除額の差を調整するために行われるものです。
 
例えば、所得税の基礎控除は48万円、住民税の基礎控除は43万円と、所得税のほうが5万円多く控除されることになるので、この差額による税負担が増えないように一定額が控除されます。
 

所得割と均等割の非課税とは

住民税の所得割は所得に応じて税額が変わりますが、一定の収入以下であれば課税されません。
 
住んでいる地域によっては基準となる金額が異なるケースもありますが、東京都23区を例にすると、単身世帯は前年の所得(年収から必要経費などを引いた金額)が45万円以下、扶養している家族がいる場合では「35万円×世帯人員+42万円以下」の世帯は所得割が非課税となります。
 
一方、均等割は所得に関係なく均等に負担すると前述しましたが、こちらも前年の所得について一定の条件に該当するケースでは課税されなくなります。
 
単身世帯は所得割と同じく45万円以下ですが、扶養している家族がいる場合では所得割に比べ若干条件が厳しくなり、「35万円×世帯人数+31万円以下」です。例えば、夫婦2人と子ども1人の世帯で、配偶者と子が扶養されている場合、所得割は前年の所得が147万円以下、均等割は136万円以下であれば非課税です。
 
課税所得は前年の年収から必要経費などを控除した額で、会社員などであれば給与所得控除を引いた金額となります。現在の給与所得控除の最低額は55万円のため、単身世帯では前年の年収が100万円までであれば住民税が非課税です。また、上記の夫婦2人と子ども1人の世帯の例では、年収で約205万7000円までは住民税は非課税となります。
 

所得割と均等割が非課税となる他の条件

前述したとおり、住民税は所得金額によって非課税となりますが、その他にも所得割・均等割ともに非課税となる条件があります。
 
所得割・均等割について、生活保護法による生活扶助を受けている方はどちらも非課税です。また、障害者・未成年者・寡婦またはひとり親で、前年中の合計所得が135万円以下(給与所得者の場合、控除前の年収が204万4000円未満)であれば非課税となります。
 

住民税非課税世帯が受けられる支援

住民税非課税世帯となると、国民健康保険料の軽減や減免、高額療養費制度の自己負担限度額の軽減、予防接種・検診費用が無料になるほか、例えば新型コロナウイルスの影響による収入減少のように、その時々で生活の困窮につながる状況となった場合には国から給付金や補助金などの支援を受けられます。
 
ただし、基本的には住民税全額が非課税の世帯が対象となるため、所得割だけが課税されていない世帯や、扶養していなくても世帯の中で住民税が課税されている家族がいる場合、対象外となることには注意が必要です。
 

まとめ

住民税は、所得割と均等割を合わせた税額が徴収されます。所得割は所得に応じて税額が変わり、均等割は所得額に関係なく均等に負担することになっていますが、どちらも前年の所得が一定以下の場合には非課税となります。
 
均等割については所得割よりも非課税の条件が厳しくなっていますが、該当した場合は住民税全額が免除されます。
 
住民税非課税世帯は、国民健康保険料や医療費の自己負担額の軽減、給付金など支援制度の対象となりますが、普段の生活費は必要なため、各種の支援を受けても日常生活は厳しいものになると考えられます。
 
個別の事情によっては収入を増やすことが難しいケースもあるかもしれませんが、例えば転職や副業などを検討する必要もあるでしょう。
 

出典

東京都主税局 個人住民税
 
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー