京都は日本の古都であり、歴史や風情があふれる街並みと文化が、観光客から高く評価されています。日本だけでなく、海外の観光客からも高い人気を誇る京都市ですが、以前から、財政難がささやかれていました。   なぜ、世界的な都市である京都が、財政難に陥るのでしょうか。本記事では、京都市が財政難に陥っている理由や、財政破綻した場合、市民にどのような影響を及ぼすのかについて解説します。

京都市が財政難に陥った原因

世界的な都市であり、観光都市としても高い人気を誇る京都市が財政難に陥った理由の一つに、市内を通る市営地下鉄関連の事業費がかさんだことがあげられます。バブルの時期に、多額の資金を費やして工事を始めたにもかかわらず、利用者数が思ったように伸びず、現在も負債を返済し続けています。
 
また、平成初期に行ったさまざまな都市基盤整備も、財政難に陥った要因になっています。立体交差化事業や梅小路公園、京都コンサートホールの整備などに相当な資金を投入しています。
 
このような状況であるにもかかわらず、京都市役所の庁舎を改修するのに、約160億円もの費用が投入されました。ただでさえ財政難の状況であるのに、こうした工事が本当に必要だったのか、市民からも疑問の声が聞こえてきます。
 

財政破綻による市民への影響

自治体が財政破綻したら、市民の暮らしにどのような影響が出るのか、気になる方も少なくないでしょう。財政破綻すると、行政サービスの質が低下するほか、税金のアップや治安の悪化などのおそれがあります。
 

ゴミの収集が有料化

通常、家庭で出たゴミは、自治体が回収してくれます。そのため、われわれは家庭ゴミをいくら捨てようと、いっさい費用はかかりません。ゴミの回収や処分には、市民の税金をはじめとした財源が用いられているからです。
 
一方、財政が破綻すると、ゴミの回収や処分など、これまで当たり前であった行政サービスを提供できなくなります。そのため、ゴミを出すのに料金が発生するという状況に陥る可能性があります。
 

公共施設の利用料金がアップ

自治体が運営しているさまざまな施設の利用が、有料になるかもしれません。もともと無料で利用できていた運動施設が有料になるとか、これまで100円で利用できていたのに、500円の料金がかかるようになるということも考えられます。
 

税金があがる

行政サービスの原資は、市民から納税してもらった税金です。財政が破綻すると、十分な行政サービスを提供するだけの財源がなくなるため、必然的に増税が行われることが考えられます。
 
市民税や固定資産税、自動車税などが軒並みアップするかもしれません。はてには、市営バス・市営地下鉄などの料金がアップする可能性すらあります。税金だけでなく、さまざまな行政サービスの料金がアップすれば、市民の暮らしも高い確率で圧迫されます。
 

学校や病院がなくなる

市立病院や小・中学校などがなくなるかもしれません。市立病院や小・中学校などは、自治体が運営しています。そのため、財政破綻すると、これまで通りの運営ができなくなり、消滅せざるをえなくなります。
 
廃業を免れた場合でも、間違いなく、サービスの品質は低下するでしょう。病院や学校だけでなく、公衆トイレや市民体育館、図書館などもなくなってしまうかもしれません。
 

実際に財政破綻した夕張市の事例

北海道夕張市は、2007年に353億円の赤字を抱えて財政破綻しました。さまざまな行政サービスが廃止され、小・中学校がそれぞれ1校しかなくなるなど、市民の生活も激変しました。
 
また、それまで無料だったゴミの回収が、有料化したことも大きな変化です。財政破綻してから、夕張市のゴミ収集料金は、1リットルにつき2円になりました。軽自動車税は従来の1.5倍に増加し、水道料金もアップしています。
 

京都市に住むならば財政破綻への備えをしよう

京都市が必ずしも財政破綻するとは限らないものの、現状では、その可能性は十分あると考えられます。
 
京都市で暮らしているのならば、いつか訪れるかもしれない財政破綻への備えをしておいたほうがよいのかもしれません。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー