ライフスタイルが多様化する昨今は、独身で老後を迎える人も少なくありません。悠々自適な暮らしをしたいと考えながらも、金銭面で不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。   本記事では、老後おひとりさまの場合に必要な貯金額を紹介します。豊かな老後を過ごせるよう、早めに備えることでできるだけ不安を軽減していきましょう。

老後に必要な貯金額は750万円?

老後に必要な貯金額を調べるために、老後の支出額や平均寿命、収入について把握しましょう。
 

・毎月の支出額

総務省統計局の調査によると、65歳以上の単身無職世帯の消費支出は月額13万2476円です。ちなみにこの額は平均値であるため、住居費が約1万円として算出されています。賃貸暮らしの場合は、住居費が実際の家賃と同額になるような支出額で計算したほうがよいでしょう。
 

・平均寿命

厚生労働省の発表から、男性の平均寿命は81.47歳、女性は87.57歳であることが分かりました。65歳から考えると、男性で約20年、女性で約25年生きることになります。
 

・収入

不労所得などの収入がない場合、老後の主な収入源は年金です。年金の受給額は厚生労働省によると、65歳以上の男性で約17万円、女性で約11万円となっています。ただし、加入している年金の種類や年数によって異なるため、自身が将来受け取る年金額を把握しておくことが重要です。
 
以上の情報から、毎月の支出額が13万5000円だと仮定して簡単に計算します。男性は収入に対して黒字ですが、女性は支出額13万5000円から収入額約11万円を引くと、毎月約2万5000円の差となります。したがって、約2万5000円×12ヶ月で年間約30万円の赤字になってしまう結果となりました。
 
つまり、女性の場合、年間約30万円の赤字分に、65歳以降の余命年数をかけた額が貯金として必要です。計算すると、30万円×25年=750万円となります。
 
しかし、実際には750万円の貯金額だけで生活していくのは困難でしょう。老後に大きな病気やけがをした場合、前述した毎月の支出額を大幅に超える恐れがあるためです。悠々自適な暮らしを送るためにも、できるだけお金は用意しておくのがよいですが、まずは750万円を最低ラインとして、貯金計画を立ててみてはいかがでしょうか。
 

老後に資金をためる方法

老後に備えて750万円以上の資金を用意する方法は難しいように感じますが、さまざまな方法で資金形成は可能です。例えば、金融商品への投資があります。まずは初心者向けの投資を勉強し、慣れてきたらまとまったお金で資産形成するのもよいでしょう。
 
また、計画的に貯金する方法もあります。毎月3万円をためることができれば、1年で36万円、20年で720万円ためることができ、目標貯金額の750万円に近づけます。
 

いまのうちに貯金を始めよう

老後おひとりさまの場合は毎月の支出額が約13万円であり、特に女性は年金だけでは生活が難しいため、最低でも750万円ほど必要であることが分かりました。細かい条件には個人差があるため、一概に必要な貯金額は「いくら」とはいえません。しかし、貯金額は多いほうがよいので、計画的に貯金をしていきましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年調査(令和3年)家計の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支

厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況

厚生労働省 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

 
執筆者:新川優香
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士