学生時代に奨学金を借りていた場合、社会人となったときに返済をしなくてはなりません。しかし、場合によっては奨学金の返済が難しいこともあるでしょう。そのようなとき、どのようにすればよいのでしょうか。   そこで、本記事では入社後にまもなく退職した人を例に挙げて、奨学金の返済を「猶予」してもらうための方法を解説していきます。

返還期限猶予制度とは?

返還期限猶予制度とは、その名の通り、奨学金の返還を一定期間先送りしてくれる制度のことです。返還が困難な事情がある場合、日本学生支援機構に返還期限の猶予を申請することが可能です。事情には失業をはじめ、災害や傷病などが挙げられます。
 
そのため、やむを得ず入社後にまもなく退職した場合も、返還期限を猶予してもらえる可能性があります。経済的に厳しい状況であれば、延滞する前に申請手続きを行うようにしましょう。
 
申請をすれば、日本学生支援機構が審査を行います。承認されれば、その期間は返還不要です。
 
ただし、期間が過ぎれば返還する必要があります。注意したいのが、返還期限が延期されるだけで、元金や利子の免除は一切ないという点です。奨学金は必ず返還しなくてはなりません。
 

申請の手続きは?

返還期限猶予制度の申請には、「奨学金返還期限猶予願&チェックシート&マイナンバー提出書」が必要です。提出書は、日本学生支援機構に電話をして請求したり、ホームページからダウンロードしたりすれば入手することができます。提出書には、番号と身元が確認できる証明書を添付しましょう。
 
さらに、「雇用保険受給資格者証(求職活動記録面含む)のコピー」「雇用保険被保険者離職票のコピー」「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書のコピー」「失業者退職手当受給資格証のコピー」のうち1点が必要になります。
 
どれも用意できない場合は「雇用関係が終わったことが分かる書類のコピー(退職証明書等)」「健康保険厚生年金保険資格取得(喪失)証明書のコピー」のうち1点を用意する必要があります。
 
「失業中」であることを事由にして申請可能な期間は、離職月とその翌月から6ヶ月間です。さらに、再就職(雇用保険に加入している場合、正社員だけでなく派遣社員・アルバイトも対象になります)していないことが条件です。この期間を過ぎた場合は、「経済困難」を事由に申請しましょう。
 
例えば、12月中(12月1日〜12月31日の間)に失業したとすると、12月から翌年5月が猶予開始月の場合の事由は「失業中」で、6月以降が猶予開始月の場合の事由は「経済困難」になります。
 
申請が承認されれば1年間返還が猶予されます。その後も返還を猶予してほしい場合は、1年ごとに申請する必要があります。返還期限猶予の期間は通算で10年が上限です。
 

日本学生支援機構に申請し返還期限猶予制度を利用しよう

新社会人でやむを得ず入社まもなく退職した場合、返還期限猶予制度を利用できます。離職月とその翌月から6ヶ月間であれば、申請時の事由は「失業中」になります。
 
申請には「奨学金返還期限猶予願&チェックシート&マイナンバー提出書」と「証明証」が必要です。経済的に厳しいなど返還が困難な状況であれば、日本学生支援機構に猶予を申請してみてはいかがでしょうか。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 失業中(一般猶予の申請事由)
独立行政法人日本学生支援機構 返還を待ってもらう(返還期限猶予)
独立行政法人日本学生支援機構 返還期限猶予制度の申請手続き
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー