子どもが遠方の大学に進学すると、仕送りをどうするべきかでお悩みの方も多いのではないでしょうか。多すぎる仕送りは本人の自立を妨げるだけでなく、家計にも大きな負担がかかります。   そこで本記事では、仕送りの実情や金額を決めるときのポイントについて解説します。

仕送り不足を感じる学生は約6割

全国大学生活協同組合連合会が、2022年10〜11月に全国の国公立および私立大学の学部学生9126人を対象に行った「第58回学生生活実態調査」によると、仕送りの平均月額は6万7650円で、前年と比較し4230円減少しました。
 
続いて、株式会社キュービック(東京都新宿区)が、低金利な銀行ローンの一括提案依頼サイト『ロンたす』にて、2022年6月にキュービックグループの持つ大学生ネットワークを活用した100人を対象に実施した「『仕送り』に関する学生の意識調査」でも、仕送り額でもっとも多いのは5〜7万円となり類似の結果が得られました。
 

仕送りが足りている学生は19人にとどまる

次に、子どもは仕送りに対してどのような感想を抱いているのか見ていきましょう。「『仕送り』に関する学生の意識調査」では、もらっていた仕送りに対する感想は以下のような結果となりました。

・十分だった:19人
・足りなかった:11人
・バイト時間を増やさざるを得なかった:9人
・バイトで勉強する時間が削られた:4人
・食費を抑える必要があった:9人
・趣味や遊びを控える必要があった:11人
・感謝しかない:39人

※複数回答可
 
仕送りが十分だと回答したのは19人にとどまり、約6割の学生がアルバイトを増やしたり食費を削ったりして対応しています。しかしアルバイトに時間をかけすぎれば勉学に支障を来し、食費の過度な節約は健康問題に発展するリスクがあるため注意が必要です。
 

仕送り額を決める3つのポイント

1人暮らしにかかる費用のうち多くの割合を占める家賃は、居住エリアにより相場が大きく異なります。
 
総務省統計局の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、1ヶ月の家賃の全国平均は5万5695円でした。対して東京は8万1001円で、約1.5倍の数値を示しています。設備が最低限のワンルームに住んでいたとしても、仕送りの大半は家賃に費やされることが予想されます。
 
そこで仕送り額を決めるときには、家賃以外に何が必要なのかを見極め、その時々に応じた援助をおこなうことが大切です。
 

食費と日常費で約3万円かかる

「第58回学生生活実態調査」によると、食費と日常費で3万1560円かかることが分かりました。このことから、家賃+3万円が仕送り額を決めるときの基準といえるでしょう。このほか、奨学金の有無やアルバイト収入も考慮しながら、仕送り額を決定するのがポイントです。
 

物資を送るのも効果的

仕送りは現金だけではなく、日持ちする食品や日用品も役に立ちます。レトルトや缶詰などの簡単な調理ですぐに食べられるものは子どもにも喜ばれるでしょう。トイレットペーパーのようにかさばり買い物の手間がかかるアイテムもおすすめです。
 
ただし、遠方から宅配便を利用すると送料だけで1000円以上かかることもあるため注意してください。ネットスーパーなどは一定の注文額以上は送料無料になるサービスもあるため、送り先を子ども宛てにすれば送料を節約できます。
 

仕送り額は定期的に見直す

一度決めた仕送り額は、定期的に見直すことも大切です。入学当初は1人暮らしに不慣れで、余計な出費がかさんでしまうかもしれません。しかし夏ごろには新生活にも慣れるため、仕送り額を見直すチャンスです。
 
また、学年が進むにつれてサークル活動などの支出は増えるものの、子ども自身でも安定したアルバイト収入を得られるようになるので、それを踏まえた仕送り額を設定するとよいでしょう。そして3年生・4年生になると、就職・進学準備が忙しくなるとともに、研究室での活動も本格化します。アルバイトにあてられる時間は減るため、仕送りも見直しが必要になるかもしれません。
 

まとめ

1人暮らしする子どもへの仕送りは、家賃+3万円を目安に考えるとよいでしょう。
 
しかし普段の生活に欠かせない仕送りとは別に、多額の学費も発生します。子ども本人も経済的負担をかけていることは理解していますから、一人暮らしが慣れてきたタイミングで話し合いの場をもうけるのもおすすめです。
 

出典

全国大学生活協同組合連合会 第58回学生生活実態調査
株式会社キュービック ロンたす 「仕送り」に関する学生の意識調査
総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー