面接で聞かされていた金額と、給与明細に記載されている金額が違ったという経験をした方は、意外に多いのではないでしょうか。職場から支払われる給料からは、さまざまな費用が引かれているため、全額を受け取れるわけではありません。本記事では、給料からどのような費用が引かれるのかという、社会人1年目のお金の疑問に答えます。

給料の額面と手取り額は違う

給与には、基本給のほかに、交通費や残業手当といった各種手当が含まれます。基本給と各種手当を合計した金額を額面金額と呼びます。この額面金額を給料として受け取れる、と勘違いする方がいますが、実際にはそうではありません。
 
社会人の給料からは、さまざまな費用が差し引かれます。つまり、額面金額と手取り金額が異なることを理解しておかねばなりません。次章からは、給料から差し引かれる費用を、個別に解説します。
 

給料から引かれるもの

給料から差し引かれる費用としては、健康保険料が代表的です。ほかにも、厚生年金保険料や雇用保険料、所得税、住民税などが差し引かれます。
 

健康保険料

日本では、国民全員が健康保険に加入しなくてはならないと決められています。会社勤めの場合、健康保険組合や全国健康保険協会などの健康保険に加入します。
 
給料からは、健康保険料が引かれることを覚えておきましょう。健康保険料が給料から天引きされているおかげで、けがや病気をしたときには、保険でカバーしてもらえます。なお、健康保険料は、会社が半額を負担しています。
 

厚生年金保険料

厚生年金保険料も、給料から差し引かれます。厚生年金とは、会社組織に属して働いている方が加入する公的年金です。なお、厚生年金は、国民年金に上乗せされる仕組みであるため、加入者は、将来的には受け取る金額が多くなるというメリットがあります。
 
厚生年金保険料についても、自身が負担する額は半分です。会社と折半であるため、満額を支払う必要はありません。差し引かれる金額は、一定の保険料率を額面給与に乗じて導き出されます。
 

雇用保険料

雇用保険とは、被保険者が失業したときに、給付金を受け取ることができる保険です。額面給与に、一定の保険料率をかけて算出されます。雇用保険で受けられる給付には、失業等給付のほか、介護休業給付、育児休業給付などがあります。
 
雇用保険も、会社と従業員が保険料を負担する仕組みになっています。厚生年金保険料や健康保険料とは違い、労使折半ではない点が特徴です。
 

所得税

所得税とは、所得に課税される税金です。会社に属さない個人事業主であれば、確定申告によって所得税額を確定させ、税金を納めなくてはなりませんが、会社員は会社が給料から天引きして納税してくれます。
 
ただ、毎月の給料から天引きされる所得税額は、あくまで概算です。実際には、多めに徴収されたり、不足したりといったことが起こります。こうした過不足を調整するための手続きが、年末調整です。
 

住民税

自治体に納める住民税も、給料から天引きされます。住民税には、市町村民税や都道府県民税などがあり、住んでいる地域によって税率が異なるため、最終的に差し引かれる金額も変わります。
 
また、住民税は前年の所得に課せられる税金です。そのため、社会人1年目は給料から差し引かれません。2年目から差し引かれるため、突然給料が少なくなったと焦らないようにしましょう。
 

手取りの範囲内でうまくやりくりしよう

健康保険料や厚生年金保険料、所得税、住民税など、給料からはさまざまな費用が差し引かれます。あらかじめ、給料からどの程度の金額が差し引かれるのかを理解していれば、給料明細を見て、がっかりすることもないでしょう。
 
社会人1年目では、そもそも額面金額も少ないと考えられるため、限られた手取り額内でやりくりをしなくてはなりません。仕事を頑張りながら、うまく節約もしつつ、手取りの範囲内で、無理のないやりくりをしましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー