2023年4月から雇用保険料が上がることを知り、家計への影響を不安に思っていた人も多いのではないでしょうか。雇用保険料は給与から差し引かれるため、保険料が上がれば手取り額は下がります。   本記事では、雇用保険の概要と保険料が決まる仕組み、雇用保険料が具体的にどれくらい引き上げられたのか、引き上げにより手取り額はいくらくらい減るのかを分かりやすくまとめました。

雇用保険料の負担額増加=手取り額減少

雇用保険料は、毎月の給与から天引きして徴収される社会保険料のひとつです。そのため、保険料が上がれば手取り額はその分減少します。ただし、従業員自身が負担する雇用保険料は、雇用保険料全体の一部です。また、保険料率が低いこともあり、金額はそれほど大きくありません。
 
以下で、雇用保険料の概要と負担額がどのように決まるのかについて解説します。
 

雇用保険とは

雇用保険とは、主に次の2つの役割をもつ社会保険です。

●労働者の生活と雇用の安定、就職の促進を目的として、失業して収入を失った場合や傷病などで働き続けることが困難になった場合、育児休業を取得した場合、職業訓練を受けた場合に、失業等給付・育児休業給付を支給する
●労働者の雇用の安定と能力開発に関する事業(雇用保険二事業)の実施

雇用保険は政府管掌の強制保険制度であり、原則として労働者を雇用するすべての事業に適用されます。
 

雇用保険料には労働者負担・事業主負担がある

雇用保険は、労働者と事業主が分担して保険料を負担する仕組みです。労働者は失業等給付・育児休業給付に関わる保険料の一部を負担し、事業主は失業等給付・育児休業給付に関わる残りの保険料に加えて雇用保険事業の保険料を負担します。
 
負担割合は、健康保険料や厚生年金保険料とは異なり折半ではなく、事業主負担のほうが大きく設定されています。
 

2023年度から適用の雇用保険料率はどれくらい上がった?

2023年4月から適用の雇用保険料率は、従前の保険料率からどれくらい上がったのかを図表1で見てみましょう。
 
【図表1】

事業の種類 雇用保険料率
(変更前⇒変更後)
労働者負担
(変更前⇒変更後)
事業主負担
(変更前⇒変更後)
一般の事業 1.35%⇒1.55% 0.5%⇒0.6% 0.85%⇒0.95%
農林水産・
清酒製造の事業
1.55%⇒1.75% 0.6%⇒0.7% 0.95%⇒1.05%
建設の事業 16.5%⇒1.85% 0.6%⇒0.7% 1.05%⇒1.15%

厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」より筆者作成
 
すべての事業の種類で労働者負担分、事業主負担分がそれぞれ0.1%ずつ引き上げられ、雇用保険料率全体では0.2%の引き上げ幅となっています。
 

【月収別】雇用保険料の値上げによる手取り額の変化を試算

雇用保険料は、毎月の給与の額面に保険料率を掛けて算出します。従業員負担の雇用保険料率が0.1%引き上げられたことにより、毎月の手取り額は0.1%減る計算です。
 
例えば、一般の事業に従事している人の場合、雇用保険料率引き上げ前後の月収別雇用保険料の差は、図表2のとおりです。
 
【図表2】

月収 2023年3月までの雇用保険料 2023年4月以降の雇用保険料 引き上げ前後の雇用保険料の差額
20万円 1000円 1200円 200円
30万円 1500円 1800円 800円
40万円 2000円 2400円 400円
50万円 2500円 3000円 500円
80万円 4000円 4800円 800円
100万円 5000円 6000円 1000円

厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」をもとに筆者作成
 
数字を比べて分かるように、保険料率引き上げにより増える雇用保険料は1000円未満にとどまる場合が大半であるため、手取り額への影響はそれほど感じない人が多いのではないでしょうか。
 

雇用保険料の値上げで手取り額はわずかに減少する

2023年4月から雇用保険料の自己負担率が0.1%引き上げられました。それにともない手取り額が0.1%減ることとなります。しかし、もともとの保険料率が低く引き上げ幅も大きくないことから、手取り額が目に見えて減ったと感じるほどではないケースが多そうです。給与明細をチェックして、自分の場合はどれくらい雇用保険料が上がったのか確認してみましょう。
 

出典

ハローワーク インターネットサービス 雇用保険制度の概要
厚生労働省 令和5年度雇用保険料率のご案内
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー