会社員であれば、基本的に厚生年金保険料を納めています。しかし、中には会社に在籍しているものの、給料が大幅に下がる、もしくは無収入となる場合があります。そのような場合でも、厚生年金保険料は支払わなければならないのでしょうか?   本記事では、厚生年金保険料の決まり方や、実際に免除や保険料が軽減される場合について解説します。

厚生年金保険料の決まり方

毎月支払う保険料の金額は、4〜6月の給料の平均金額を基準とし、その年の9月から翌年の8月までの分が決まります。そのため、基本的にはその他の月の給料が多少上下しても、支払う保険料の金額に変化はありません。
 
とはいえ、特定の場合では、厚生年金保険料が免除や軽減されます。具体的に見ていきましょう。
 

産休を取得する場合免除を受けられる

子どもが誕生した際には、生まれる前と後、つまり産前産後に産前産後休業(産休)を取得する場合が多いですが、産休の間は原則として給与が支払われません。
 
そのため、何もしないと給与がないのに保険料を支払う必要があります。給与がない状態で保険料を支払うのは、経済的に余裕がないとできません。そのため、年金事務所への申請により、保険料の支払いを免除できます。なお、この申請は事業主が実施します。
 
ちなみに、対象となる期間は産前42日、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間です。なお、産休による免除期間は、将来年金を受け取る際には、保険料を納めた期間として計算されます。
 

育休の場合も免除を受けられる

子どもが生まれても、その後すぐには働けない場合もあるでしょう。その場合、育児のため一定期間は育児休業(育休)を取得することとなります。育休期間中も、産休と同様に原則的には給与が支払われません。
 
そのため、満3歳未満の子どもを育てるために育休を取得した期間についても、保険料の免除を受けられます。なお、育休による免除についても、産休と同様に、年金金額算定時には保険料を納めているとして計算されます。
 

給与が大幅に下がったときは保険料が軽減される

毎月支払う厚生年金保険料は、通常は毎月の収入が多少上下しても大きな変化はありません。保険料の見直しは毎年4〜6月の給与を基に計算されるため、基本的にはその他の月でいくら残業をした場合でも保険料には影響しません。
 
とはいえ、以下3つの条件すべてを満たす場合、通常の見直し時期を待たずに保険料の基準となる給与を見直す仕組みがあります。
 

(1)昇給や減給などにより、固定的賃金に変動があった
(2)変動月からの3ヶ月間に支給された報酬の平均月額による標準報酬月額と従来の標準報酬月額に2等級以上の差が生じた
(3)3ヶ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所勤務の短時間労働者は11日)以上である

 
例えば、対象となる期間の給与が標準報酬月額の区分で15万円(9等級)に下がってしまったとします。条件(1)(3)を満たしている場合、従来の標準報酬月額が17万円(11等級)以上であれば、保険料の軽減措置が適用されます。
 

社内での申請の方法を確認しておこう

産休や育休時には、厚生年金の保険料は免除されます。基本的には会社の人事部門が適切に対応してくれるはずですが、それぞれの会社にて所定の手続きや申請が必要な場合もあるでしょう。いざというときに焦らないためにも、事前に申請の方法を確認しておくことをおすすめします。
 

出典

日本年金機構 厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)

日本年金機構 随時改定(月額変更届)

日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー