節約のために、「朝ごはん」を食べないという人もいるでしょう。確かに、食事の準備や食べる時間、材料と調理に使う光熱費は節約できるかもしれません。しかし、お金と時間以外の面からみて、これは本当に適切な方法なのでしょうか。ここでは、朝食が体調や生活にどのような影響をおよぼすか、考えてみます。

朝食の欠食率

ある特定のグループにおいて、朝食を取る習慣のない人の割合を「朝食欠食率」と呼びます。この「欠食」とは、菓子、果物、乳製品、嗜好(しこう)飲料などの食品のみ食べる場合、錠剤などによる栄養素の補給や栄養ドリンクのみ摂取する場合、または何も食べない場合のことです。
 
日本人の朝食欠食率は増加傾向にあり、特に若い世代ではその傾向が強くみられます。厚生労働省が定期的に行っている「国民健康・栄養調査」では、朝食欠食率に関する具体的なデータが公表されています。
 
それによると、2007年以降の欠食率は男性で約15%、女性で約10%です。年齢グループ別に分類してみると、欠食率が最も高いグループは男女とも20歳代となっており、年齢が上がるごとに低下しています。
 

朝食を抜くメリット

朝食を食べないメリットとして、食費の節約をあげる人もいます。確かに、毎日の朝食を抜いて昼食とあわせてしまえば1日2食になるため、3食を標準とすれば単純計算で食費は3分の2に抑えられます。家計のすべての消費支出に占める食費の割合をエンゲル係数と呼び、低収入であるほどエンゲル係数が高くなる、つまり、生活水準が低くなります。
 
朝食を抜いて食費を削れば、エンゲル係数を低減できるため、理屈上は生活水準をあげられます。そのほかに、食事を取らないことで朝の時間を有効に活用できるという考え方もあるかもしれません。人によっては、朝食を取らないほうが体調がよいと感じる場合もあります。
 

朝食を抜くデメリット

では、朝食を抜くことのデメリットを考えてみましょう。朝食を取らないと、エネルギー不足により午前中のパフォーマンスが低下したり、昼食時に過食になったりする可能性があります。
 
また、長期的にみれば、栄養不足による体調不良や、疲労の蓄積、集中力の低下などが問題となります。節約のために朝食を食べないことは、一見すると一定の効果があるかもしれません。
 
しかし、健康を損なうと医療費が発生して出費が増えます。さらに、仕事や学業のパフォーマンス低下による損失を考慮すると、節約効果は大きく減少するか、あるいはマイナスに転じる場合もあるでしょう。こうして考えると、朝食を抜いてしまうことは、長期的には節約につながらないでしょう。
 

朝食を食べて健康と節約のバランスの取れたライフスタイルを

朝食を抜いてしまうことで一時的な節約が可能かもしれません。しかし、健康への影響や長い目でみたときの経済的な損失を考慮すると、必ずしも賢明な選択とはいえないでしょう。
 
代わりに、簡単で安価な食材を用いた朝食や栄養バランスの良い低価格の食品を探すなど、体調を維持しながら経済的な負担を軽減する方法があります。健康と節約の両方を意識して、しっかり朝食を食べながら、長期的にみて最もバランスの取れたライフスタイルを目指しましょう。
 

出典

厚生労働省 平成29年「国民健康・栄養調査」の結果

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー