熱中症にかかったら医療保険は適用される?
熱中症にかかった場合、加入が義務付けられている公的医療保険は適用されます。しかし、熱中症が理由で入院や手術が必要になったり、死亡・高度障害状態になったりした場合を含めて、任意で加入する民間の保険会社が取り扱う医療保険の保障対象かどうかは、保険会社により異なります。
一部の保険会社では、熱中症に特化した保険や特約を用意しています。医療保険に加えて、熱中症にかかったときの備えとして加入を検討してみてもよいでしょう。
注意点として、傷害保険は原則として熱中症の保障が適用されません。傷害保険は突発的に発生した事故によるけがを保障する保険だからです。熱中症保障特約を加えられる傷害保険もありますが、保険会社や保険商品によって詳細は異なるため、事前に確認しておく必要があります。
医療費の額が一定の限度額を超えると高額療養費制度の対象
熱中症にかかった際の医療費の額が高額になった場合、高額療養費制度を使えば負担を軽減可能です。 高額療養費制度が適用されると、同一月の1日〜末日に発生した医療費が一定の自己負担額を超えた分の差額が後で支給されます。
高額医療費の自己負担上限額は、年齢や所得によって区分されています。同月であれば1つの医療機関だけでなく複数の医療機関と自己負担額の合算が可能です。70歳未満の自己負担限度額は図表1、70歳以上75歳未満の自己負担限度額は図表2を参考にしてください。
【図表1】
所得区分(年収の目安) | 自己負担上限額 | 多数回該当 |
---|---|---|
年収約1160万円 | 25万2600円+(医療費−84万2000円)×1% | 14万100円 |
年収約770万〜1160万円 | 16万7400円+(医療費−55万8000円)×1% | 9万3000円 |
年収約370万円〜約770万円 | 8万100円+(医療費−26万7000円)×1% | 4万4400円 |
〜年収約370万円 | 5万7600円 | 4万4400円 |
住民税非課税者等 | 3万5400円 | 2万4600円 |
【図表2】
所得区分(年収の目安) | 自己負担上限額 | 多数回該当 |
---|---|---|
年収約1160万円 | 25万2600円+(医療費−84万2000円)×1% | 14万100円 |
年収約770万〜1160万円 | 16万7400円+(医療費−55万8000円)×1% | 9万3000円 |
年収約370万円〜約770万円 | 8万100円+(医療費−26万7000円)×1% | 4万4400円 |
年収約156万〜370万円 | 5万7600円 | 4万4400円 |
住民税非課税者等 | 2万4600円 1万5000円(所得0円世帯) |
70歳以上の人は自己負担額をすべて合算できますが、70歳未満の人が合算できる自己負担限度額は2万1000円以上のものに限ります。
仕事中に熱中症になった場合は労災保険の対象
仕事中に熱中症にかかった場合、業務が原因であれば、労働者災害保障保険法に基づいて労災保険が適用されます。労災保険は、労働者本人やその家族を守るための公的保険制度の一種です。
正社員やパート・アルバイトを問わず、労働者を1人でも雇用する事業は規模を問わず加入が義務付けられており、保険料は全額事業主にて負担します。
本格的に暑くなる前に熱中症対策をしておこう
熱中症にかかった場合、公的医療保険制度では保障を受けられますが、民間の保険会社が取り扱う医療保険の場合は保険会社により異なります。また、一定の条件に該当すれば、高額医療費制度や労災保険なども申請できるでしょう。
しかし、公的医療保険制度で保障を受けられるとはいえ、身体や精神への負担は大きなものです。熱中症にかかってから体調が回復するまでに、時間を要するケースもあります。普段から水分補給を欠かさないなど、熱中症にかからないように心がけておくことも重要です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー