コロナ禍による半導体不足で、価格が高騰していた中古車市場。 2023年になり、コロナ禍による半導体不足が緩和されつつある今、中古車を値下げする動きが出ています。   今回は、中古車の価格高騰や値下げが起こるのはなぜか、今後の展望とともに解説します。

半導体不足で価格高騰していた中古車市場

コロナ禍による自動車部品の生産ライン縮小や半導体不足により、国内自動車メーカーの新車生産が滞っていました。
 
半導体は、現在の車に欠かせないものになっています。
エンジンの電子系を制御するECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)に内蔵されたマイクロコントローラーだけではなく、ADAS(先進運転支援システム)など、さまざまな領域で使用されています。
 
半導体不足により、新車の生産が滞ってしまい、新車を注文しても、納期は1年以上先になるといった事態が生じました。
当然のことですが、新車が売れなければ、中古車が市場に出回らなくなります。
 
「新車の納期に1年もかかるのなら、先進安全装備が充実した中古車でもよい」と考えるユーザーもおり、中古車の需要が増えました。
その一方で、新車の生産が滞っている状況もあって、中古車の価格が高騰する状況が生じたのです。
 

中古車が高い時代は終わりを迎えた!? 変化している中古車市場

2023年に入ると、コロナ禍での半導体不足も緩和されつつあり、中古車の値段が下がりだすという動きがみられるようになりました。
 
旧車買い取り・売却査定を行う業者が、ネットオークションでの価格をもとに算出したところ、高級車として人気の高いメルセデス・ベンツCクラス(C220dアバンギャルドAMGライン)は、2023年1月時点で、1ヶ月前と比較すると、600万円から498万円へと、約17%も価格が下がっていることが分かりました。
 
世界的に人気の高いトヨタのランドクルーザー300(ZX)も、1367万円から1302万円と、約5%も価格が下がっていました。
 
NHKによると、群馬県安中市の中古車販売店では、2022年の夏ごろに150万円ほどで販売されていたコンパクトカーが、2023年4月には130万円ほどで販売されていたとのことです。
 
半導体不足が緩和されたことと、円安が落ち着いたことで、昨年と比較して、中古車の価格が、車種にもよりますが、10万円ほど下がっているようです。
ただし、納期が遅れている人気の車種は、いまだに中古車の値段が、新車の値段を上回るという状態が続いています。
 

新車の値上げの発表が相次ぐ! 車購入のタイミングを見極めよう

原材料費や原油価格の高騰にともない、自動車メーカーの間で、新車の値上げの発表が相次いでいます。
例えばホンダは、主力である「N-BOX」「フリード」「ステップワゴン」を、最大6万6000円値上げすることを発表しました。
 
新車が値下がりする可能性は低く、中古車も、このまま安くなっていくかどうかは流動的で、まだ分からない状況です。
新生活のスタートや車検など、具体的に車を買い替える予定がある場合、早めに契約をしたほうがよいかもしれません。
 

出典

NHK群馬NEWS WEB「県内でも中古車価格値下げの動き 新車の半導体不足落ち着き」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー