ゴミを出す頻度には個人差があるものの、例えば、生ゴミであれば、地域で週に1〜2回程度回収している場合が多いのではないでしょうか。市販のゴミ袋と指定ゴミ袋では年間にかかる費用の差が大きいので、できれば市販のゴミ袋を使いたいという声もあるようです。では、コスパ面では実際どうなのでしょうか。   本記事では、市販と指定それぞれのゴミ袋の価格差とともに、指定ゴミ袋が利用されている理由について解説します。

市販と指定ゴミ袋それぞれの年間購入額

市販のゴミ袋と指定ゴミ袋(家庭用)それぞれ45リットルのものの価格を比較してみました。指定ゴミ袋は自治体によってサイズや料金が異なるため、40リットルもしくは45リットル10枚入りに限定、1回あたりのゴミ出しで1枚使用するとします。可燃ゴミの回収が週2回とした場合、ゴミ袋の使用数は1ヶ月間(4週間とする)で8枚、年間96枚です。
 

・市販のゴミ袋の年間費用

市販のゴミ袋は、45リットルサイズ10枚入りの場合で100〜400円前後で販売されています。10枚入りのゴミ袋を使用している場合、年間で10袋必要です。価格は1袋10枚入り100円ほどのものであれば、年間で1000円前後かかります。ただし、市販のゴミ袋の場合、10袋セットなどまとめ買いできるものもあるため、それらを購入した場合はさらに安く購入可能です。
 

・指定ゴミ袋の年間費用

指定ゴミ袋の価格は地域やサイズによって異なります。可燃専用ゴミ袋の最大サイズ(40リットルもしくは45リットル)に限定して複数の地域での価格を見てみました。
 
例をあげると、東京都八王子市では40リットルサイズが1袋750円、石川県金沢市では45リットルサイズが1袋450円、熊本県熊本市では45リットルサイズが1袋350円です。こちらの例で年間の指定ゴミ袋の費用を算出すると、八王子市では7500円、金沢市では4500円、熊本市では3500円かかります。
 

指定ゴミ袋が利用されている理由


 
前述したように、ゴミ袋の年間費用のみでみれば市販のものを使用するほうが節約できるため、そちらを使ってゴミを捨てたいと考える人もいるかもしれません。ただし、指定ゴミ袋制度が導入されているのは、各自治体がゴミについて強い思いがあるからです。そこで、各自治体が指定ゴミ袋制度を導入している理由について、以下に例をあげてみました。
 

・家庭ゴミの量を減らすため

市販のゴミ袋は指定ゴミ袋より安く、気軽に利用できます。その結果、捨てるゴミの量を気にする機会が少なくなり、家庭ゴミの多さが日本の課題の1つになりました。指定ゴミ袋は市販のものより高い分、捨てるものやリサイクルするものなどゴミについて考える機会が増えます。
 
ゴミ袋自体も小サイズ、中サイズ、大サイズなど複数のサイズが用意されており、小さいサイズになるほど価格も安いです。こういった工夫で、一人ひとりがゴミを減らすきっかけになればと指定ゴミ袋制度が導入されています。
 

・半透明や透明のゴミ袋にすることでゴミの分別意識を高める

指定ゴミ袋は半透明や透明なタイプが多いですが、これは中身が見える状態になっていることでゴミの分別を徹底してもらう目的があります。出すべきではないゴミが入っていれば回収してもらえないため、次に出すときには気をつけることが可能です。また、危険物が捨てられていた場合にも、中身が見えていれば慎重に扱うなど、安全にゴミの回収ができます。
 

・ゴミ収集や処理のために売り上げの一部活用

ゴミを処理するためには費用がかかります。そのため、指定ゴミ袋の売り上げの一部がゴミの収集や処理などにかかる費用をカバーするために活用されています。
 

・ゴミ袋が統一されることで景観が改善される

ゴミ袋が同じものになることで統一感がでるため、指定ゴミ収集所に置いてあるときにも景観を損ねにくいです。
 

ゴミの量を減らして節約と地球環境保全を

市販のゴミ袋は自治体指定のゴミ袋より安く、ゴミ袋の購入費は年間で数千円の差になる場合もあります。家庭ゴミの量が非常に多いことは、日本の課題の1つです。
 
そこで、自治体が考えたのが指定ゴミ袋制度を導入し、ゴミ袋を有料化することでゴミを減らそうという取り組みです。ゴミが減ればその分地球環境保全にもつながるため、ゴミ袋の購入費節約を兼ねて家庭でできる工夫をしましょう。
 

出典

八王子市役所 資源循環部ごみ減量対策課 指定収集袋の種類と価格

金沢市 家庭ごみの指定ごみ袋収集制度

熊本市役所 環境局 家庭ごみ有料化について

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー