65歳以上の2人暮らしの支出額と収入額
総務省統計局による「家計調査」の結果から、65歳以上かつ2人以上の世帯における支出額と収入額の平均をみてみましょう。
・2人暮らしの高齢者世帯の平均消費支出額
2023年6月の調査結果によると、世帯主が65〜69歳かつ2人以上の世帯において、1ヶ月あたりの平均消費支出額は約28万7000円となっています。世帯主が70〜74歳の世帯では約25万2000円、75〜79歳の世帯では約22万6000円という結果でした。
年齢を重ねるごとに減っていくものの、いわゆる高齢者となっても毎月の消費支出額は20万円を超えるでしょう。
家計調査結果における消費支出額には、住居にかかる費用も含まれています。これをみると、世帯主が65〜69歳かつ2人以上の世帯では、住居費用の平均が1ヶ月あたり約2万1000円となっています。世帯主が70〜74歳の世帯では約2万円、75〜79歳の世帯では約1万8000円です。住居にかかる費用が1〜2万円程度なのは持ち家世帯が多いためです。
同調査では、世帯主が65歳以上かつ2人以上の世帯における持ち家率は90%を超えています。老後の生活を賃貸物件で過ごすのであれば、20万円程度に家賃をプラスした金額が毎月の消費支出額となるでしょう。
・収入の大部分を占める年金の平均受給額
高齢者の収入の大部分を占めるのが年金です。厚生労働省年金局の令和3年度の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金の平均月額は約14万3000円となっています。国民年金の平均月額は約5万6000円という結果でした。
また、家計調査によると、世帯主が65〜69歳で2人以上の無職世帯の平均公的年金受給額は1ヶ月あたり、約41万8000円となっています。世帯主が70〜74歳の世帯では約41万5000円、75〜79歳の世帯では約40万4000円です。
貯蓄800万円で10年後以降の生活は安泰か
65歳以上の平均消費支出は1ヶ月あたり20万円以上となりますが、年金による収入はそれ以上となる世帯も少なくないでしょう。あくまでも平均のデータであるため、消費支出額がそれ以上になるケースもあり、また、受け取れる年金がそれ以下になるケースもあります。50代半ばで貯蓄が800万円あるのであれば、すぐに生活が困窮する事態は避けられるでしょう。
しかし、10年後に、その貯蓄が減っていないとも限りません。年金制度の改定や年金額の調整もないとは限らないため、老後の生活が安泰であるとは言い切れないでしょう。
老後の暮らしが不安な場合の対策を紹介
貯蓄800万円では老後の生活が不安なのであれば、今から対策を講じておきましょう。ここでは、いくつかの対策を紹介します。
・今から節約を始める
10年後以降に備えて今から節約を始めると、貯蓄額をさらに増やせる可能性があります。保険や通信など各種プランの見直しや、安い家賃の物件への引越しなどによる固定費の削減は特に効果的です。食費の節約としては、飲酒や外食、お菓子を控えるのもよいでしょう。
・老後も収入源を確保しておく
老後も働くことにより、収入源を確保しておく方法もあります。今からでも資格の取得や勉強をしておくと、より収入源を得やすくなるでしょう。副業を始めるのも一案であり、長く続けられる仕事であれば、より安心して老後を迎えられます。
・年金の受給年齢を繰り下げる
年金の受給年齢の繰り下げにより、受け取れる金額を増やせます。65歳までに貯蓄も増え、老後もまだ働けそうであれば、年金の繰下げ受給を検討してみましょう。
貯蓄があっても安心して老後を迎えるには節約や仕事の継続などが必要
65歳以上の2人暮らしの世帯では、データをみる限り、受け取れる年金額が消費支出額を上回っています。しかし、賃貸物件に住む場合では、赤字となるリスクが出てくるでしょう。50代半ばで貯蓄が800万円ある世帯は、比較的安心して老後が迎えられそうです。
とはいえ、必ずしも安泰とは限りません。より安心して老後を迎えるには、今から節約を始めたり、老後も働くために収入源や資格・知識を獲得したりしておく必要があります。
出典
総務省統計局 家計調査 2023年6月
厚生労働省年金局 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー