子どもを授かりたいと考えたときに「子どもが成人するまで、きちんと養っていけるだろうか」と、金銭的な不安を抱く方もいらっしゃるでしょう。 仕事で大きな変化があったらとか、予想以上に教育資金が必要だったらなどと、さまざまな悩みが出てくるのではないでしょうか。   ときには「必要に応じて、学資保険や教育ローン、公的な支援を調べて、その都度利用すればなんとかなるのではないか」と、思うかもしれません。   しかし、子育て世帯の年収と、経済的な余裕の有無について知ることは、「現状で子どもを授かったとして、自分たちは余裕をもって生活していけるのか」について判断する、ひとつの基準になるでしょう。 今回は、子どもがいる家庭の平均年収について、ご紹介します。

子どもがいる家庭の平均年収

「独立行政法人労働政策研究・研修機構」による「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査2018(第5回子育て世帯全国調査)」をもとに、子どもがいる家庭の収入について、ご紹介します。
 
子どもがいるふたり親世帯における就労環境について、もっとも多いのは「正社員夫と非正規妻」で、39.2%がこれに該当します。
次に多いのが「正社員夫と無職妻」で、21.8%です。
 
それでは実際に、ふたり親世帯の年収は、どれくらいになるのでしょうか。
上記の調査では、世帯全体の統計はなく、夫・妻のそれぞれで集計されているため、その数値をもとに算出します。
子どもがいるふたり親世帯の場合、収入金額の分布は、女性は表1、男性は表2のとおりになっています。
 
表1 女性
 

年収 割合
収入なし 23.7%
〜99万円 19.3%
100〜199万円 16.8%
200〜299万円 7.7%
300〜399万円 5.4%
400万円〜 9.7%

 
※独立行政法人労働政策研究・研修機構「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査2018(第5回子育て世帯全国調査)」をもとに筆者作成
 
表2 男性
 

年収 割合
収入なし 0.9%
〜299万円 8.7%
300〜499万円 23.7%
500〜799万円 28.7%
800万円〜 14.7%

 
※独立行政法人労働政策研究・研修機構「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査2018(第5回子育て世帯全国調査)」をもとに筆者作成
 
また同調査では、非正規雇用の女性のうち67.8%は、配偶者控除を受けられる103万円以内で就業していることも分かっています。
女性の年収の中央値は90万円のため、控除内で働く点と矛盾しません。
 
女性の収入の中央値90万円と、男性の収入でもっとも割合の高い「500〜799万円」をあわせて考慮すると、590〜889万円世帯が多いと推測が可能です。
 

子どもを授かる前に確認しておきたいこと

「子どもを授かりたい」と思ったときは、経済的困窮に陥らないように、事前に検討を重ねる必要があります。
それというのも、ふたり親世帯でも、のちのち教育資金の不足とか、奨学金や教育ローンの返済にかかる心配、自身の病気・介護が生じた際の教育資金への不安などを抱くケースが多いからです。
同調査によれば、実際に経済的困窮に陥る家庭も、表3のとおり、少なくありません。
 
表3
 

非正規夫
・非正規妻
正社員夫
・非正規妻
正社員夫
・正社員妻
可処分所得が貧困線以下の世帯 26.5% 5.7% 2.7%
家計の収支バランスが悪いと感じている世帯 20.5% 15.9% 7.6%
学習塾の費用を負担できない世帯 18.1% 15.4% 4.7%
食料の不足を感じている世帯 10.8% 4.9% 1.8%
暮らしが「大変苦しい」と感じている世帯 18.1% 7.8% 5.1%

 
※正社員には自営業も含む、非正規には無職も含む
※独立行政法人労働政策研究・研修機構「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査2018(第5回子育て世帯全国調査)」をもとに筆者作成
 
とくに複数の子どもを授かりたい場合は、子どもの成長の時期とかかるお金について、習い事の有無とか、選ばせてあげられる進学先、自身の介護費用など、さまざまなことを踏まえて、考えておく必要があるでしょう。
 
余裕をもって育児をするならば、子ども一人には、平均ラインとなる世帯年収600〜900万円程度、子ども二人以上には、それ以上の年収があるか、まとまった資産があることを、ひとつの目安として考えておいてもよいかもしれません。
 

育児にはまとまった収入・資産が必要

子どもを育てる場合は、まとまった収入・資産が必要になります。
実際に育児をしている世帯の年収は、590〜889万円世帯が多い傾向にありますが、それだけ収入があっても、困窮に陥る世帯は、一定数確認されています。
とくに複数の子どもを育てたいと考える場合は、より多くの収入が必要になるため、慎重に検討する必要があるといえるでしょう。
 

出典

独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査2018(第5回子育て世帯全国調査)」(37,38,45,47ページ)

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー