フリーランスは国民年金のみ
公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2階建てです。会社員や公務員は、2階部分にあたる厚生年金に加入しますが、フリーランスは厚生年金に加入できません。
フリーランスは国民年金にしか加入できないため、以下のように受給できる年金額に差が出てしまいます。以下は、厚生労働省が提供している「公的年金シミュレーター」によって算出された金額です。
●フリーランス:約78万円
●22〜64歳まで厚生年金に加入した会社員(平均年収400万円の場合):約172万円
●22〜64歳まで厚生年金に加入した会社員(平均年収500万円の場合):約197万円
●22〜64歳まで厚生年金に加入した会社員(平均年収600万円の場合):約221万円
フリーランスの場合、20歳から60歳までの40年間の全期間をおさめた場合も受け取れる金額は満額で年78万1700円です。上記のように、フリーランスは会社員や公務員と比較すると、受給できる年金額に100万円以上の差が発生することもあります。
フリーランスが行うべき老後対策
フリーランスは厚生年金に加入できませんが、老後対策を軽減するための手段はいくつかあります。
以下で、フリーランスが行うべき老後対策について解説していきます。
NISA
NISAとは「少額投資非課税制度」で、一定の金額まで非課税で投資できる制度です。通常の投資では、配当や売却益に約20%の税金がかかりますが、NISAでは税金を納める必要がありません。税金というコストを負担せずに資産運用できることから、フリーランスでも効率よく資産を築き、老後に備えられるでしょう。
現行のNISAは「一般NISA」と「つみたてNISA」に分かれており、2024年からは新NISAが開始される予定です。一般NISAの非課税限度額は120万円、つみたてNISAの非課税限度額は40万円ですが、新NISAでは年間で360万円まで非課税で運用できます。
iDeCo
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことで、老後の年金づくりに特化している制度です。自分で掛け金を拠出し、金融機関が用意している中から好きな運用商品を選ぶ仕組みとなっています。拠出した掛け金が全額所得控除になり、運用席が非課税になるメリットがあるため、NISAと並んでフリーランスにおすすめできる制度です。
NISAは好きなタイミングで売却し、資金を引き出すことができますが、iDeCoは60歳以降にならないと資金を引き出すことができません。
また、iDeCoは働き方によって拠出できる上限が異なる特徴があります。会社員の上限は毎月2万3000円ですが、フリーランスの上限額は6万8000円です。フリーランスは厚生年金に加入できないことから、上限額が会社員よりも大きく設定されています。
個人年金保険
金融機関や保険会社が販売している個人年金保険も、老後資金を作るための選択肢の一つです。個人年金保険は、毎月の保険料や年金受給期間を自分で設定し、必要に応じて途中解約することも可能です。ただし、個人年金保険は、一般的に途中解約すると元本割れをする可能性があるため、注意しましょう。
個人年金保険料も所得控除の対象となりますが、所得税は4万円、住民税は2万8000円と控除額には上限があります。そのため、まずは優先的にNISAとiDeCoを活用して、それでもまだ老後資金対策に回せる余裕があれば個人年金保険の活用を検討しましょう。
まとめ
フリーランスは厚生年金に加入できないため、何の対策もしないと会社員や公務員と比較したとき、年金受給額で大きな差が付きます。公的年金は終身年金なので、厚生年金に加入できないフリーランスは老後生活に不安があります。
しかし、フリーランスは会社員と異なり、いわゆる「定年」という考え方はありません。健康で本人のやる気次第では、会社員より長く働ける可能性もあります。長生きリスクに対応するためにも、NISAやiDeCoなどの制度を活用しながら、健康で長く働くことを目指しましょう。
出典
日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度
厚生労働省 公的年金シミュレーター
金融庁 NISAとは?
金融庁 新しいNISA
iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)の特徴
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー